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2020年2月19日 (水)

草臥れオヤジの疾走記 ~赤羽ハーフマラソン~(下)

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さてマラソンをしているときに何を考えているのかと訊かれることがあるが、私の場合は自分より若干早いランナーを探して、その人をペースメーカーにしようと、始終あちらこちらに視線を向けている。

ただ漠然と走っていると、元来の怠け者の性格が沸き上がってきて、次の給水所が来たら10分ていど休もう、今日は昨日の酒が残っているから10キロ地点でリタイアだなと、怠惰の渦潮に自ら巻き込まれてしまうからである。

さらにリタイアした自分を今日は良くやったと励まして、祝杯をあげたり、自分へのご褒美を買ったりと、自身に対して絶対的な優しさを併せ持っている。

負けず嫌いの要素はひとつもない、本来ならばスポーツには向かない性格である。


今回は3キロを過ぎたところで、理想的なフォームで颯爽と走るうら若き女性ランナーを発見した。

普段ならば自分と同じぐらいの年齢の草臥れランナーを、ペースメーカーに選ぶのだが、流れるようなストライドとあまりにも美しいフォームなので、わずかの時間でもついていければ、自己ベストが出るのではと思い追走。

きっと彼女は仕事をテキパキとこなして定時に終わり、その後はジムでひと汗流して、夕飯は控えめに、温めの風呂で一日の疲れを癒す生活を過ごしているのだろう。

すらりと伸びた背中が、そう語っている。

私のように背中を丸めて過ごしているわけではない。

1月というのに南から穏やかな風が吹き、彼女の髪がさらさらとなびいている。


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至福の時間。

このまま彼女と共にゴールできれば自己ベストは間違いなしと思ったところで、上り坂で急激にベースダウン。

折り返し地点で、愛しの彼女は彼方へと去ってしまった。

こうなると内なる自分との戦いになる。

ハーフマラソンとはいっても18キロ付近になると、オーバーペースで走っていたランナーがリタイアしてコースの端を歩き、果ては座りこんでいる姿が、多く見受けられるようになる。

とくに給水所で立ち止まり、喉元を鳴らして水を飲むランナーが眼に入ると、いたたまれなくなる。


これは悪魔の誘惑である。

もう頑張らなくても良いよと告げる、天使の囁きである。

すぐにでも心が折れそうな中、まだ見えぬゴールを目指し、愛しの彼女に再び会えることを夢見て、ひたすら歩を進めていく。

やがてスタート地点が彼方に見えて、ヨロヨロとした足取りでゴールイン。


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ツカレタ。

時計を見ると、前半に彼女に導かれたおかげで、自己ベストを更新することができた。

もちろん彼女はどこにもいない。

空を見上げたあとに、頭垂深謝。さらに多謝。

ただ一緒に参加した仲間は、私よりも10分以上も早いタイムを叩き出していて、お互いの労をねぎらっている。

ゴール後何分も経っても呼吸が乱れた自分を思うと、まだまだ精進が必要なことを実感。ただ1年前はハーフマラソンを完走するのも危うい実力しかなかったことを思うと、歩くことなく走りきれるまで成長したことに、自分をほめてやりたいし、もう焼きトンの肉汁で口の中が涎で満ちている。

やはり本質的にハードルの低い性格。

自身の殻を破るために、日々精進することを主としていないようだ。


(店主YUZOO)


♫写真は本文とあまり関係はありません。

2月 19, 2020 店主のつぶやき |

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