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2019年10月15日 (火)

草臥れオヤジの疾走記〜山形まるごとマラソン〜(上)

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スポーツの秋。

マラソンの季節到来ということで、55才からからのアスリート宣言をしたばかりに、先月に引き続き、肉体的な衰えも忘れて、1ヶ月も経たずに出場である。

今回の舞台は、心の故郷と呼んでも差し支えない山形県で開催された「山形まるごとマラソン」。

こけし買付ではお世話になっているだけに、まったく未知の土地というわけではない。

むしろ故郷に錦を飾りに来た気分で、この大会のメインであるハーフマラソンの部にエントリーしたのである。

 

こう書くと、眩しいほどの充実した人生を送ってるように思えるが、現実の私はちがう。

前世はオオサンショウウオだったと確信するほど、日頃は怠惰な休日を過ごしていて、布団の隙間から空を眺めては、雨が降りそうだの、風が強いだのと呟いては、練習から逃れようとしている。

ただ極度の貧乏性ときているから、途中で棄権したら参加料がもったいないと思い直して、湿った布団から這い出して、渋々ウェアに着替えているのが本音。

 

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練習もエントリーしたことを後悔しては、散歩中の犬に吠えられながら、公園の周りを息を荒げて走っている。

みなさんに忠告するが、安易に55才からのアスリートなどと宣言すべきではない。

あの時は、なにかに憑かれていたのか、毎月大会に参加して、その度に記録更新して、来年には市民ランナーの憧れ、サブフォーを達成するのだと、独りごちになっていた。

 

だがこの半年、いやいやながら練習を重ねたものの、目を瞠るようなタイムが出たわけでもなく、体力維持が精一杯だった現実。

中年オヤジには、もうアスリートなどという輝かしい言葉で祝福されることはない。

 

しかし山形に向かう高速バスで、その自己陶酔の悪癖が、またもや頭角を現し、この大会の目標である2時間切りは間違いなし、ゴールしたときの決めポーズはどうしようと夢想していた。

クレイジーケンバンドの「♫やれば出来るよ〜、出来るよやれば〜」と口ずさみながら、ゴールは右脚か左脚かで悩んでいたくらいである。

根拠のない自信に満ちた人間ほど、始末に負えないものはない。

 

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7時間ほどバスに揺られ、山形駅に到着すると、陽が傾き、すこし肌寒い。

晩秋の気配である。

空を見上げると、数千羽の椋鳥の大群が乱舞し、喧しく鳴いているのが、都会では見られない異様な光景で、それ以外は人影も最後の練習をするランナーもなく、至って静かである。

 

明日、マラソン大会が開催される祝祭ムードはない。

気持ちだけは神奈川県の招待選手と意気込んでいただけに、この荒涼とした雰囲気は、すこし腰砕けである。

この熱い気持ちを鼓舞するものが欲しい。

 

そこでマラソンに最適に食べ物はバナナであると、ふと雑誌に載っていたのを思い出し、ホテル近くのスーパーで2本買った。

蝋細工のような美しい黄色いバナナである。

まだ熟すには程遠い。

この初々しさ。清々しいさ。

明日を暗示しているようにさえ思えてならない。

本当に明日、私は走るのだろうか。

 

(店主YUZOO )

 

 

10月 15, 2019 店主のつぶやき |

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