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2018年4月18日 (水)

第42回 耳に良く効く処方箋




ジェフ・マルダー『ワンダフル・タイム』(リプライズ)

ポール・バターフィルド・ベターデイズ解散後に発表されたジェフ・マルダーのソロ・アルバム。とにかく参加ミュージシャンの顔ぶれが豪華絢爛。
エイモス・ギャレット、コーネル・ドュプリー、ロン・カーター、バーナード・パーディ、クリストファー・パーカー、ビリー・リッチ、ジェームス・ブッカーといった面々。
アメリカ音楽シーンを陰で支えた腕のたつ強者ばかりである。
これだけの面子が揃えば、ワールドカップの一次予選は余裕で通過できる。うらやましい。


アルバムは、1930年の映画『ザ・ビック・ポンド』の挿入歌で幕を開ける。
古き良きアメリカのジャズ楽団が偲ばれる小粋なアレンジで、ジェフの音楽的懐の深さを十分に感じさせる1曲。
以前、マリア・マルダーと組んだアルバムに映画『未来世紀ブラジル』のテーマ曲を歌っていたけれども、そのセンスは健在。
4曲目にも『バッグダッドの盗賊』のテーマ曲を挿入しているのをみると、ジェフの音楽ルーツに映画音楽があるのは間違いないだろう。


このアルバムに聴きどころは数多くあるが「Gee baby ain’t I good to you 」におけるエイモス・ギャレットのギターソロ。
名演奏と謳われたマリア・マルダー「真夜中のオアシス」、ベターデイズ「Please send me someone to love 」と並び称されるほど印象深い。
流麗なフレーズを弾きながら、饒舌にならず
、俗ぽいドラマ性を求めず、淡々としたソロでありながらも、表情豊かで情緒があり、里帰りにも似た安堵感がある。
ギター小僧ならば、この1曲だけでも価値がある。


個人的にはヒューイ・ピアノ・スミス「High blood pressure 」を取り上げてくれたのが嬉しい。
奇才ジェームス・ブッカーのコロコロと転がるピアノで始まり、アフタービートの効いたリズム隊、歯切れの良いフレーズを吹くホーンが繰り出す様は、1950年代のニューオリンズ黄金期を彷彿させてくれる。


そしてボビー・チャールズ「Tennessee blues 」を元妻マリアと愛娘ジェニーと仲睦まじく歌い、アルバムは終わる。
その数曲前のトラックでも、マリアと出会いの場となったジャグ・バンド時代のスタイルで共演。
こういう未練がましいダメ男ぶりも、ジェフの魅力だと思うのは、私だけだろうか。
優しくて、傷つきやすい人なんだろうね。

(店主YUZOO)

4月 18, 2018 店主のつぶやき, CDレビュー |

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