« 第37回 耳に良く効く処方箋 | トップページ | 第28回 紙の上をめぐる旅 »

2018年2月20日 (火)

第38回 耳に良く効く処方箋




はっぴいえんど『グレーテスト・ライヴ!オン・ステージ』(ソリッド)

最近、耳がどんどん頑固になっていくようで、中古レコード屋で漁るのは、もっぱら未発表音源をまとめたものばかり。
ついこの間も、The Doorsの未発表ライヴ音源を3枚、村八分の未発表音源も3枚、まとめて購入。
そして以前買い忘れていたこのアルバムも同時にゲット。


相変わらずである。
新しい音楽を聴くというチャレンジがない。
何故ならば、新しいスタイルの音楽を聴くのは体力がいる。
まして加工され過ぎた音は人工的で、音に温かみ感じない。
耳というのは、年を重ねると遠くなるのではなくて、新しいものを聞き入れ無くなるだけなのではなかろうか。


はっぴいえんど。
日本のロック黎明期に燦々たる軌跡を残した名グループなのは周知の通り。
3枚のオリジナル・アルバムと何枚かの編集盤を残したのみで、その活動期間も1969年から1973年と非常に短い。
実際には1972年でグループとしては終焉、1973年のサード・アルバムは海外録音するという条件で再結集したに過ぎないと、解析する評論家もいる。
つまり伝説のグループの実動は非常に短かい。


このアルバムでは、デビュー前の「ロック叛乱祭」でのステージが3曲収録されていて、はっぴいえんど以前のグループ名、バレンタイン・ブルーとして紹介されているのが、興味深い。
そのほかの音源は、1971年「加橋かつみコンサート」、「第3回中津川フォークジャンボリー」となっている。




はっぴいえんどは、スタジオ録音は良いが、ライヴはイマイチという評価が長い間なされているが、このアルバムを聴く限り、それは音楽業界の都市伝説に過ぎないように思える。
この音源自体は、レコード化されることを想定されていないゆえ、非常にラフなミックスで、各楽器の音のバランスが悪いが、そのなかでも鈴木茂のギターは一際光っている。
当時は未だ19歳なのに、一瞬の煌めきで弾くフレーズやソロは独創的で、ルーツが何処にあるのか解らないほど個性的だ。


それと細野晴臣のベース。
のちにティン・パン・アレーを結成して、鈴木茂とともに日本のミュージック・シーンを支え、それどころか歌謡曲まで視野に入れた活動の原点を感じさせる、懐の深いベース・ライン。


このアルバムは、本人たちが発表を意図していない音源なのだが、こうして耳にすることによって、都市伝説が崩れ去るという好例だと思う。
頑固になった耳が、そういうのだから間違いない。


(店主YUZOO)

2月 20, 2018 店主のつぶやきCDレビュー |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第38回 耳に良く効く処方箋:

コメント

コメントを書く