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2018年2月23日 (金)

第40回 耳に良く効く処方箋




シルヴィア『ザ・クィーン・オブ・セクシー・ソウル』(オール・プラティナム)

だいたいこのジャケットからしていけないのである。
地方のスナックにあるような安物のソファに腰掛けて、もうつまらない話は止めにしてベッドに行きましょうよと送る流し目に、手を伸ばせば届きそうなはち切れんばかりの胸元に、キスするためにあるような濡れた唇に、すべての男が目尻を下げて、彼女の言いなりに着いて行く。


男という生き物は、セクシーな女性の前では、従順な飼い犬なのである。
牙などないのである。
あとは野になろうと、山になろうと、有り金のすべてを失おうと、冷静な判断は出来るわけがない。
撃沈あるのみ。


このシルヴィアという妖艶な女は、男達を手玉に取り一筋縄ではいかない、したたかさを持っている。
お近づきになるには、よほどの覚悟ないといけない。
ライナーによると、デビューしたのは1950年頃。
その後、ぎたーの名手ミッキー・ベイカーと組んで、ミッキー&シルヴィアと名乗り「Love is strange 」というヒット曲を放つ。
さらに1967年に夫婦でオール・プラティナムというレーベルを設立し、今度は事業主として手腕を発揮するのである。


喩えて言うのならば、若い頃に風俗産業に、身を投じたが、身体がしんどい割には実入りが少ないと気がつき、業界の金の流れを学び、コネをつくること、他人を使って稼ぐこと、つまり経営者になるのが一番だと悟ったようなもの。
さすが女帝といわれる女だけある。




このアルバムは彼女を代表する『ピロー・トーク』と3作目『シルヴィア』を、カップリングしたお得盤。
全編にわたって、しっとりとした甘くて妖艶な歌声が聴ける。
またシルヴィアは、経営者以外にも作曲家としての才能を合わせ持ち、オール・プラティナムで契約していた甘茶ソウルの名グループ、ホワッツノウツ、モーメンツに、名曲の数々を提供している。
それらの名曲を女帝自ら、甘茶ソウルは、こういう風に甘くセクシーに歌うものよと、アレンジを変えて実演しているのも嬉しい。
砂糖菓子のような甘い夜の帳が降りてくる。

今回、家族に聴かれてはいかないと、思わずステレオのボリュームを下げてしまったのは、マーヴィン・ゲイのカバー曲「You sure love to ball 」。
シルヴィアが跨って、上となり下となり、ベッドの軋む音までも聞こえるようなエクスタシィ・ボイス。
見事な絶頂期の艶唱を堪能させてくれる。


音楽を聴いていて、AVを観ているような錯覚に陥る、唯一無比の妖艶盤です。

(店主YUZOO)

2月 23, 2018 店主のつぶやきCDレビュー |

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