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2018年1月25日 (木)

第25回 耳に良く効く処方箋





ウッドストック・マウンテンズ』(ラウンダー)

前作から5年を経て、再びハッピー&アーティ・トラウム兄弟の呼びかけで、ウッドストックにあるベアズヴィル・スタジオに名うてのミュージシャンが集まって制作されたのが本作。
この5年の間に音楽シーンは激変したのだが、古き良きアメリカ音楽を現在に再現することが主のプロジェクトのため、ディスコでフィーバーしようとパンクが吹き荒れようと、まったく関係ない。


もっとも当時、この優しきアコスティークな音が、若者の耳が受け入れたのかと問われると、心許ない。
当時は輸入盤で良く見かけたのは覚えているものの、手に取って眺めた記憶はないし、ここに参加しているミュージシャンで知っているのは、ポール・バターフィールドぐらいだし、トラウム兄弟については、猫の額ほどの知識もない。
ブリティッシュ・ロックに眼を輝かしていた紅顔の高校生だったから、このような渋い音楽を知らないのは仕方ないとも言えるが。


このアルバムで活躍しているのは、ラヴィン・スプーンフルのリーダーだったジョン・セバスチャン。
ハート・ウォーミングなハーモニカを随所に聴かせてくれて、ラスト曲「Amazing grace 」では、ポール・バターフィールドとの夢の共演を果たしているが嬉しい。




前作と同じく収録曲はすべて吟醸の香りに満ちているが、敢えて選ぶならば、その大活躍のジョン・セバスチャンと主催者ハッピー・トラウムが、二人で仲良く歌う「Morning blues 」。
ギター二本のみの演奏だが、ジャグ・バンド風の愉しさに溢れていて、思わず眼を細めてしまう。


このマッド・エイカーズは形を変えて続けられているプロジェクトらしいが、残念なことに、その音源を再発するレコード会社は少なく、前作共々、世界初CD化したのは日本のヴィヴィッド・サウンドである。
多感な高校生のポピュラー音楽という大海に船出し始めた頃、スルーしていたアルバム群を、現在、こうして聴けるように再発してくれたことに感謝。
そうでなければトラウム兄弟を知らずに、あちらの世界に行くところでした。

(店主YUZOO)

1月 25, 2018 店主のつぶやきCDレビュー |

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