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2018年1月24日 (水)

第24回 耳に良く効く処方箋






マッド・エイカーズ『ミュージック・アマング・フレンズ』(ラウンダー)

昨日、紹介したエリック・ジャスティン・カズが幻の名盤を録音していた同時期に参加したのが、このアルバム。
ハッピー&アーティ・トラウムというウッドストック派と呼ばれる兄弟が企画したアルバムで、ハドソン河をピクニックしながら、レコード会社の制約を受けない自由奔放なセッションをして、古き良きアメリカのフォークやカントリー、ブルースを愉しもうという、何ともユニークなものだった。


参加したミュージシャンは、マリア・マルダー、ビル・キース、トニー・ブラウン、ジム・ルーニー、リー・バーグなど、ウッドストック派ではお馴染みの人で占められている。
曲ごとに参加するメンバーが異なるのだが、古き良きアメリカ音楽という共通言語で結ばれているので、まったく違和感がない。
この人懐っこいサウンド作りは、70年代の高田渡や細野晴臣に多大なる影響を与えたと思う。


ベスト・トラックは全曲と言いたいところだが、あえて独断で決めさせていただくならば、マリア・マルダーとリー・バーグの歌姫が歌う「Oh , The rain 」をあげさせてもらおう。
ブラインド・ウィリー・ジョンソンという戦前に活躍した盲目のブルースマンの曲なのだが、原曲の重苦しい曲調に比べると、二人のハーモニーの美しさを強調しているものの、原曲にある物哀しさを失っていない。
幼い頃から、この曲を良く口ずさんでいたのではと思えるほど、しっくりとした歌いぷりである。




さてエリック・ジャスティン・カズは、このアルバムでの役割というと、ピアノとハーモニカで曲を支え、自身も1曲目の「Cowpoke 」でリード・ボーカルを取っている。
子供が歌う童謡みたいな曲で、同時期に『イフ・ユアー・ロンリー』を製作していたのだと考えると、何となく微笑ましくなる。
このセッションは、大切な息抜きの時間だったのだろうね。


解説で鈴木カツ氏が「マッド・エイカーズの素晴らしさは、アメリカン・ミュージックの財産をロック全盛の70年代に掘り起し、ノスタルジックな気分におぼれることなく、うたは歌い継がれてこそ生きのびることができるのだ、と教えてくれた点にある」と書いておられる。
深く共感する。

(店主YUZOO)

1月 24, 2018 店主のつぶやきCDレビュー |

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