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2018年1月 6日 (土)

第11回 耳に良く効く処方箋




ブレイヴ・コンボ『ポルカス・フォー・ア・グルーミィ・ワールド』(ラウンダー)


テキサスで誕生したポルカ・バンド。
ブレイヴ・コンボは、いろいろな国の民族音楽をポルカに仕立て上げ、どのアルバムも掛け値無しで楽しませてくれる。
我々日本人にとっては、日本の古い流行歌をまとめた『ええじゃないか』というアルバムが、親しみ易さではひとつ頭抜けていて、当然、私もそのアルバムを聴いてから、このバンドに注目するようになったクチ。
以後、中古レコード屋のカビ臭い棚から見つけては、コレクションにしている。


このアルバムでも雑食的に世界中の民族音楽をポルカに仕上げていて、ドイツ民謡、テックスメックス、チェコとその食指を動かしているが、やはり個人的な注目は、ロシア民謡「カチューシャ」を、どのような味付けを施しているかが気になるところ。


「カチューシャ」と言えばロシア国歌ともいうべき歌で、元々は第二次世界大戦時に広く歌われた軍歌。
戦地に赴く若い兵士を、無事に帰郷することを祈る娘の心情を歌ったもの。
今でも戦勝記念日の5月9日では、ロシア各地のイベントで「カチューシャ」が声高らかに歌われる。


日本でも♬リンゴの花ほころび〜と、歌声喫茶の世代では思い出の一曲だ。


さてそのロシアを代表する曲を、どのような味付けで料理に仕上げたのか。
メキシコ風ピリ辛料理か、ドイツ風ザワークラウト風味か、東欧風肉料理か。
イントロは「ヴォルガの舟歌」で重々しい前菜のあと、テンポが変わり「カチューシャ」とメイン料理が運ばれてくるが、意外にも正当なロシア料理。脂肪分と塩分の高い味付けで、大量のスメタナで食欲を促してくる。
そして歌詞も、ちゃんとロシア語で歌われている。





『ええじゃないか』の時もすべて日本語で歌っていたのだが、リーダーのカール・フィンチは言葉を聴き取る耳力が良いのだろう。
どの言語でも違和感なくメロディアスに歌ってしまう。


その器用さが逆にアダになる節もあって、よく駅前で売られている海賊盤みたいに聴こえてしまうのも正直なところ。
もっと怪しげなエセ無国籍性を全面に出ていれば、左眼で笑って、右眼で頷いていたのにと惜しまれる。
器用過ぎるというのも、面白味が煮崩れせずに、身が固くなるというきらいがある。


最後の曲は「In heaven,there is no beer 」。
歌詞が掲載されていないので、詳細はわからないが、私の拙い耳の聴き取りによると、天国は良いところだけども、ビールもワインも、さらにSEXさえないんだ、愉しむのならば現世が最高だよ、といった内容。
やはりこういう歌は、ブレイヴ・コンボの独壇場。


左眼も右眼も笑っている自分がいる。

(店主YUZOO)

1月 6, 2018 店主のつぶやきCDレビュー |

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