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2018年1月19日 (金)

第20回 耳に良く効く処方箋




オムニバス『ブルース・アット・ニューポート1963』(ヴァンガード)


ニューポート・フェスティバル。
なんと甘美な響きだろう。


戦前から活動していたブルースマンがフォーク・リバイバルによって再発見された頃、このニューポートで行われたフェスティバルは、間近にその勇姿を観られる最良の場であった。
たぶん聴衆は白人のフォークファンが中心だったのだろうが、ブルースマンのギター・テクニックに酔い痴れ、歌詞が描く豊穣な世界観に深く溜息をついたに違いない。
たとえボブ・ディランやジョン・バエズを目当てに会場に足を運んだのであっても。


のちにこのニューポートでは、伝説となったボブ・ディランがバンドを率いてロック・スタイルでライヴを行い、センセーショナルを巻き起こしたのだが、このアルバムから2年後の出来事である。
それ故、このアルバムが録音された1963年は、フォークギターの弾き語りが主で、エレクトリック・バンドは未だない。


このアルバムには6名のブルースマンが収録されているが、聴きどころは、ゲイリー・ディヴィス牧師とジョン・リー・フッカーだろう。




ゲイリー・ディヴィス牧師は、ライ・クーダーの師匠にあたる人物で、その卓越したフィンガー・ピッキングの軽快さは、溜め息が出るほどに美しい。
YouTubeでその指さばきを確認したのだが、親指と人差し指を中心に弾くツーフィンガー・スタイル。
素早い指さばきでリズミカルに動き、そう簡単に真似することが出来ない。
フォークギターを弾く人は、一度聴かないといけないギターリストである。


ジョン・リー・フッカーは、唸り声を上げるだけで、一瞬にしてその世界観に引き摺り込んでしまう、圧倒的な存在感。
まるでミシシッピ河に棲んでいるアリゲーターのようだ。
足踏みしながらブルースを唸る姿に、聴衆も聞き惚れているというより、完全にジョン・リー・フッカーに耳を呑み込まれている雰囲気で、手拍子ひとつ叩くことが出来ない。
曲が終了すると、我に返り拍手をする有様だ。


他にもブラウニー&マギー、ミシシッピ・ジョン・ハート、ジョン・ハモンド、ディヴ・ヴァン・ロンクを収録。
アコスティーク・ギターを弾くブルースファンは、一度聴いてみてください。

(店主YUZOO)

1月 19, 2018 店主のつぶやきCDレビュー |

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