« 第23回 紙の上をめぐる旅 | トップページ | 第24回 紙の上をめぐる旅 »

2018年1月16日 (火)

第18回 耳に良く効く処方箋




ジム・ディッキンソン『ディキシー・フライド』(アトランティック)

20年ほど前、本の漫画をキャラクターにして「名盤探検隊」と銘打って、1960〜1970年代に発表された埋もれた名盤を発掘するシリーズがあった。
それはレコーディングの裏方さんだったり、寡作なミュージシャンの作品だったり、1枚だけ残して音楽シーンから消えてしまった人だったり、様々な視点から発掘していくユニークなシリーズだった。


このジム・ディッキンソンもこのシリーズで発掘されたひとり。
当時は初めて名前を聞くミュージシャンで、解説には「ライ・クーダーの名盤『紫の渓谷』の共同プロデューサー、ピアノ、キーボード・プレイヤーとして名を連ねて〜」と書いてあり、なるほどねと膝を叩いた覚えがある。
どちらかと言えば、プロデューサーとして、スタジオ・ミュージシャンとしてキャリアを積んできた人だ。




タイトルが示すとおり、南部で活動している人で、このアルバムではジム自身のルーツとなる音楽スタイルを前面に出していて、まさにごった煮状態、悪く言えば何でもござれ的なアプローチになっている。
一曲目はリトル・リチャードばりのワイルドなロックンロール、次にゴスペル、カントリー、ヴードゥー的な呪術的な音楽、トラディショナル・フォーク、カントリー・ブルースと続きアルバムが終わる。


個人的には、デラニー&ボニーやウッドストック派にみられるようなブルースに敬意を表した一曲「Casey Jones 」がお気に入り。
戦前のブルースマン、フェリー・ルイスの曲とクレジットされているが、たぶん古くから歌われている、作り人知らず的なホーボーソング。
戦前ブルースマンのアルバムには、この曲がよく収録されている。


この曲をジムのホンキートンク調のピアノとアコスティック・ギター、ベースとドラムというシンプルな編成で、寛いだ雰囲気で歌われる。
こういう味わいを醸し出せるのは、南部音楽にどっぷりと浸っているからこそ。
他の地域だと、ついつい教科書的なお堅い演奏になってしまうのが常である。


南部音楽の豊潤さを十分に味あわせてくれる好アルバムである。
フライドチキンを片手に聴いてはいかが。

(店主YUZOO)

1月 16, 2018 店主のつぶやきCDレビュー |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第18回 耳に良く効く処方箋:

コメント

コメントを書く