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2018年1月12日 (金)

第15回 耳に良く効く処方箋




オムニバス盤『アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティヴァル1962-63』(オールディズ)

またまた買ってしまったオールディズ・レコード。
このジャケットの佇まいも良いね。
色遣いも落ち着いていて気品がある。
24bitマスターを使用して、アナログ盤の音質に近づけようとする精神に、身も心も洗われるようですね。
大切になさってください。
と、中島誠之助にでもなったように気分で、じっとジャケットを見つめている。


このアメリカン・フォーク・ブルース・フェスティヴァルは、1962年から8年間続いた伝説的な音楽フェス。
ヨーロッパ各地を巡業したようで、この時に大物ブルースマンが若いミュージシャンに影響を与えたことは、間違いない。
若きローリング・ストーンズもヴァン・モリソン、エリック・クラプトンも、本場仕込みのブルースを間近にして、興奮冷めやらずに夜を過ごしたんだろうなと想像する。


マディ・ウォーターズ、サニー・ボーイ・ウィリアムスン、ジョン・リー・フッカー、Tボーン・ウォーカー、メンフィス・スリムなどなど、伝説のブルースマンが一堂に会し、演奏を繰り広げるのだから、興奮の神に憑かれるのは当然のこと。
こうして50年以上も前の音源を聴いている私も、聞き入ってしまうのだから仕方ない。




また現在だからこそ、聴いていて面白く思うのは、スタイルの違うブルースマン同士が、それぞれの曲の時にバックに回る違和感が、微妙な化学反応が起きていて興味深い。


ワン&オンリーの孤高のブルースマン、ジョン・リー・フッカーに、都会派ブルース・ピアニストのメンフィス・スリムがバックにつく。
ジョン・リーはブルースの基本12小節など意に介さず、時には13にも14にも小節が変化するから、メンフィス・スリムも付いていくのが大変で、何とか小節のヅレを誤魔化している。
ジョン・リーのバックだけは演りたくないと、メンフィス・スリムの心中を察してしまうほど。
ドラムのジャンプ・ジャクソンは、勢い余ってスティックを落としているし。


ただ唯一堂々たる演奏をしているのは、シカゴ・ブルース界のボス、ウィリー・ディクスン。
百戦錬磨、百戦百勝の俺だ。
演奏が空中分解するような下手なマネはしねえと、安定したベースラインを刻んでいく。


当時のヨーロッパの観客は概してお行儀良く、ブルースマンたちが日常活動している、シカゴのウェストサイドやバレルハウスの雑多な雰囲気がないので、猥雑でどろりと濃厚なブルースは臨めないが、それを差し置いても貴重な記録である。
ウクレレを弾いて歌うブルースウーマン、ヴィクトリア・スピヴィなんていう異色派も収録されているし。
ブルース・ファンなら揃えておきたい1枚。

(店主YUZOO)

1月 12, 2018 店主のつぶやき, CDレビュー |

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