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2018年1月10日 (水)

第14回 耳に良く効く処方箋




ベイビー・ワシントン『ザッツ・ハウ・ハートエイクス・アー・メイド』(SUE原盤/オールディズ)

またも買ってしまったオールディズの再発盤。
たぶん以前に英ケントから出ていたブツを持っているはずなのだが、この丁寧な仕事に敬意を払って購入。
今や部屋のなかがCDタワーが林立した状況で、英ケント盤を探し出すのは、石油を掘り当てるぐらい困難だし、仕方ない。
しかし再度地震が来たとき、このCDタワーが崩れ落ちて下敷きになるのかと想像すると、やはり断捨離することも大事かとも思う。
物欲と虚無の板挟みである。


このCDは1963年にSUEレコードから出たファースト・アルバムに、ボーナス・トラックを加えたものである。
タイトル曲がR&Bチャート10位に上がり、その勢いに乗って編集されたアルバムのようで、以前に発表されたシングル盤などが加えられている。


ソウル黎明期に活躍だけに、R&Bの香りを残しながらも、バラードやミディアム・テンポの曲に実力を見せた歌手である。
少しハスキーで力強い歌声は、耳にまとわりつく甘ったるさはなく、辛口の吟醸酒のようである。
タイトル曲は当然のことながら、アルバム最後に収めらた「A handful of memories 」にも、その表現力豊かな歌唱を聴かせてくれる。


個人的にはシングル・カットされず、数合わせのために収録されたようなミディアム・ブルース調のナンバー「Standing on the pier 」。
ワシントンのハード・ブルースばりの歌唱力も素晴らしいが、バックで支えるハモンドオルガンの音色が不可思議で、耳を惹く。
鍛冶屋のふいごのような、喘息持ちのお爺さんの寝息のような、何とも形容し難い音色。
思わずうがいをしたくなる。


ベイビー・ワシントン。
後世に名を残すようなヒット曲には恵まれなかったが、アーリー・ソウル好きには忘れがたい歌手である。


(店主YUZOO)

1月 10, 2018 店主のつぶやき, CDレビュー |

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