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2017年12月29日 (金)

第8回 耳に良く効く処方箋




ジェームス・ブラウン『ライブ・アット・ガーデン』(キング)


ジェームス・ブラウンの怒涛のライヴを捉えたアルバムは数多くあれど、この1967年に発表された作品は、名盤『ライヴ・アット・ジ・アポロ』などと比べると、かなり知名度が低い。
CD化も2007年に日本で発売されたのが、初めてとなる。
しかし、そんな事はどうでもいい。
「ぐるなび」の点数がその店の味を表しているわけでないように、点数の低い店は全て不味いとはならない。


60年代半ばから70年初めにかけてのジェームス・ブラウンとゴッドファーザー・オブ・ファンクは同義語だったことは、誰もが納得するところ。
いや、ファンクの神様が降臨していたと言ってもいい。
ジェームス・ブラウンがいなければファンクという音楽が完成していなかったし、これほどカリスマ性を帯びたミュージシャンは、比するべき人物は、ほとんどいない。
ワン&オンリーの絶対的な存在。
ステージに降り立った瞬間、観客は興奮の坩堝と化し、神様のシャウト、スクリームに熱狂し、会えた悦びで失神する。
もうステージというより、宗教的な儀式である。


その辺りは、YouTubeでジェームス・ブラウンで検索してみてください。
神様が激しく踊り、マイクスタンドを操り、シャウトを繰り返す姿に、崇高な気持ちで体温と精神がヒートアップしてきます。
こんな凄まじいステージを年間300以上もこなしていたのである。人間の為せる事ではない。
神様以外の何者でもない。


このアルバムもその儀式の瞬間をパッケージした名盤である。
「Out of sight 」、「Bring it up 」で観客の体温を5℃ほど熱くさせ、「Try me 」で少しクールダウンさせる。
鋼を製造するがごとく、熱してから冷ますという作業をすることで、ステージと客席が一体感になることを、神様は熟知しておられるのだ。


白眉は「Hip bag ‘67」という即興的な曲で展開する人知を超えたシャウト&スクリーム、「Ain’t that a groove 」でみせる観客を煽り立てる姿。
ものすごい熱気と一体感である。


ラストはお決まりの「Please please please 」のマントショーで大団円を迎えるのだが、この完璧なステージの流れを見せられて、興奮で鼓動は高まったまま。
神様は人々に歓喜と悦びを与えられたことで、満足して楽屋裏へと去っていく。


ジェームス・ブラウンのライヴに駄盤なし。
すべてが神様の尊い儀式を捉えた名盤である。

12月 29, 2017 店主のつぶやきCDレビュー |

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