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2017年12月18日 (月)

第5回 耳に良く効く処方箋




ネヴィル・ブラザーズ『ヴァレンス・ストリート』(コロンビア)

現在、ほぼ活動休止状態のネヴィル・ブラザーズ。
名前のとおり、アート、チャールズ、アーロン、シリルの4兄弟が中心となっていて、90年代に来日した際は、よくライブを観に行った思い出深いグループである。


それぞれ音楽の嗜好が異なる4人だけども、兄弟だけに化学反応が起きて、統一感のあるアルバムが出来上がる。
代表作は1989年に発表された『イエロー・ムーン』であることに異論はないが、このアルバムも4人の個性がバランス良く溶け込んだ好盤だと思う。


ピート・シーガーの代表曲「If I had hammer 」をアーロンの甘い歌声に、シリルのカリビアン嗜好が上手くマッチしているし、インスト・ナンバー「Valence street 」や「The dealer 」は、ニューオリンズ出身のグループならではの抜群のリズムを刻みこむ。
ワイクリフ・ジーン(フージーズのリーダー)との共演作「Mona lisa 」は2世代ぐらい差があるのに、ジェネレーションの違いなど物ともせずに、スローに熱くグルーヴしていく。


そして何よりも嬉しい収穫は、ファンク・マスターの長男アートが、ミーターズ時代を彷彿させるような最高のファンク魂をみせる「Real funk 」。
ニューオリンズ産のファンクは、俺様が創り上げたんだと言わんばかりに、シンコペーションし躍動するリズム、チャールズのサックス、そしてバャバャ〜〜と豪快に鳴り響くアートのハモンドオルガン。


アートのオヤジ声も素晴らしい。
この老舗旅館の番頭みたいな歌声で、50年近く音楽業界を生き抜いてきたのである。
まさに伝統の一献。
この声の艶と響きに旨みを感じないようであれば、音楽の肝というものが理解していないことになりますゾ。


仲良き兄弟の音楽は、聴くものを幸せにしてくれる。

12月 18, 2017 店主のつぶやきCDレビュー |

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