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2017年12月13日 (水)

第2回 耳に良く効く処方箋




ルイ・アームストロング『ハロー・ドーリー!』(キャップ)

1964年発表の名盤。
ルイ・アームストロングを聴くと、どんなに辛い事があっても、どんな災難に巻き込まれても、憂鬱で気が滅入りそうになっても、聴いている間だけは、幸せな気分に浸れることができる。
わすが30分程度の魔法であっても、その時間だけは、すべての嫌なことを忘れさせてくれる。
真のエンターテイナーとは、ルイ・アームストロングのような人物を指すのだろう。

ただ私の耳は、ルイの嗄れたダミ声にブルースの響きを、その親しみある人懐っこい歌の中に感じてしまう。
誰も一緒に口ずさみたくなるような歌を歌うルイだが、その明るくハッピーにさせてくれる歌に、なぜか計り知れないブルースが潜んでいるように聴こえるのだ。
人生が輝いているのは一瞬のこと。
それだからこそ、今宵を今日一日を愉しんで生きようではないかと、そんな気分が見え隠れするのだ。

酸いも甘いも人生の機微を熟知しているからこそ、明るい曲にもブルースが入り込んで、奥深い表現になっているのではないか。
この辺りの考察は、もう少しルイを聴かないと、その本質に近づけないだろうが。
まだ聴いている枚数が少な過ぎる。

大ヒット曲「Hello dolly 」はもちろん素晴らしいナンバーだが、他にも聴きどころが満載。
映画『ティファニーで朝食を』のタイトル「Moon river 」などは、アンディ・ウイリアムスの気障な歌より親しみがあるし、ファッツ・ドミノで有名な「Blueberry hill 」も牧歌的な歌唱で、指でリズムを取って、一緒に歌いたくなる。

このアルバム、紙ジャケット仕様のものを、近所のリサイクル・ショップで500円で購入。
何でまたとお得な買い物に驚く反面、この名盤を手放した人の事情が知りたくもなる。
よほどの理由があったとしか思えない。
だって、30分の魔法を手放したのだから、その心中を察したくもなる。

12月 13, 2017 店主のつぶやきCDレビュー |

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