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2017年9月 6日 (水)

第6話 ロシア買付日記




市場の人いきれで混沌とした熱気が好きである。
ロシアの雑貨市場は生鮮食料品を扱っているわけではないので、売り手と買い手の声高なやりとりはないが、それでも熱気はある。
リアカーを引いて果物を売る者もいれば、お茶を売る移動式の屋台も出る。

露地いっぱいにベレスタが積まれ、夏だというのに毛皮の帽子が壁一面に咲き乱れ、雛壇に並んだマトリョーシカたちは澄ました目線でこちらを見ている。
それらを買付にロシア各地から、いやヨーロッパからも名うての雑貨商たちが、さほど広くない市場に大挙してやって来る。




こちらも負けてはいられない。
かりにも極東の島国からはるばる来ているのだ。何を買うかは、昨晩から諳んじられるほどに頭の中に刻み込んでいる。
1個、2個といった染みっ垂れた買い方はしない。10、50、100が単位である。

この市場に来るようになって10年。
どの商品がどの店で扱っているのかは、もう百も承知。
天井の染みぐらいに知っている。
これで思い通りに買付られなかったとなると、自棄のやんぱち日焼けの茄子、色が黒くて食いつきたいが、あたしゃ入れ歯で歯が立たないよと、寅さんの口上がつい口をつくことに。
つまり初秋に冬眠から覚めた蛙のような、自暴自棄な気分になってしまう。





今日はロシアならではの白木やヤーロスラブリの素焼きの人形、もちろんマトリョーシカも買付。何を血迷ったのかスノードームや寺院オルゴール、カレンダーまで、買付用の大袋に投げ込まれていく。
8月に大きなイベントが二つあるので、バラエティに富まそうと思い、かくなるご乱心を起こしている次第。
これだから買付はやめられない。





〈追記〉
ちなみに時間が勝負の買付ゆえ、写真を撮り忘れました。ということで市場と関係ないものをアップしてます。
お楽しみのところ、申し訳ありません。


(店主・YUZOO )





9月 6, 2017 店主のつぶやき, 海外仕入れ |

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