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2015年8月12日 (水)

買付おやぢはセミョーノフをめざす(7)

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ここは元国営工場ならではの古き良き質素な展示で、

B級品半額の広告とか、特価品が積み上がっていないのが、

潔くて気持ちいい。

カウンターにいるロシア的な福与かな女性も、

こちらをちらりと一瞥するだけで、

無理してでも買ってもらおうという姿勢がないのも潔い。

サービスが過剰になりつつある昨今、

自由に見て好きなものを選んでくれれば十分ですから

というスタンスは、日本のサービスが

スタンダードと思いがちなだけに新鮮に映る。

 

その静寂に包まれた買い物時間で見つけたのが、

ユーリーさんのチェブラーシカのセット。

お手ごろ価格が信条のグジェリにしては、

かなり高額な逸品なのだが、

チェブラーシカに登場するキャラクターが全部で8体。

陶器のつくりもユーモラスで絵も丁寧に描かれていて、

一度だけ買付したときは、

その存在を知っていたディープなチェブラーシカファンが、

待っていましたと言わんばかりに、

買い求めたマニア垂涎ものの逸品なのである。

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悩んだときは買うというのが、買付人の鉄則。

福与かな女性に頼んで、

お店にあるユーリーさんの作品を

すべて見せてもらうように頼んだ。

もちろん福与かさんは、眉を八の字にすることも、

口をへの字曲げることもなく、

淡々とガラスケースの上に並べ始める。あくまでも潔い。

チェブラーシカ以外にも、ムーミン一家、おおきなかぶ、

三匹のくま、ライカ犬、

マーク・ボラン(ギターのところにTレックスの文字があり)

……。

 

寡作な作家とはきいていたが、

これだけ様々な作品が並べられると、

買付人としては何を買ってよいのか判断に迷うところである。

鉄則どおりにすべて購入となると、

セミョーノフに到着する前に、

所持金が消えていくのは間違いなし。

財布の中身と相談というより、

財布と家族会議をしなければならない金額になるはずである。

どうにもこうにも打ち手なしだねと、市場につれていかれる

子牛のような眼でチェリパシカ氏と見つめあってしまう。

 

すると突然、福与かさんが

 

「ユーリーさんが、あなたたちに会いたがっているそうよ」

 

と告げられる。

 

(店主YUZOO)

 

8月 12, 2015 海外仕入れ | | コメント (0)

2015年8月 5日 (水)

買付おやぢはセミョーノフをめざす(6)

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さてグジェリの買付であるが、

自分なりのテーマを決めておかずに、

目を留めた可愛いもの、風変わりなものなどを

手当たり次第に買い求めると、とんでもないことになる。

 

というのも食器や置物だけでなく、グジェリには

陶器でつくれそうなものは何でもある。

時計、サモワール、ランプシェイド、シャンデリア……。

以前は電話機を見たことさえある。

また精巧につくられたものは避けないと、

苦難の末に日本に持ち帰ったとしても、

持ち帰ったのは砕け散った思い出だけになりかねない。

 

そこで今回は、動物の置物に狙いを定めた。

どんなにコブロフさんとチェリパシカ氏が

時計を勧めてきても、半額まで値引きしてくれても、

置時計だけは買わない。

絶対に買わない。

未だに砕け散った思い出が、

心のなかで時を刻んでいると思うと、

やり場のない悲哀と虚脱感に襲われるからである。

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コブロフさんは、あらかじめ数箇所、

グジェリで良い製品を販売しているところを選んでくれていて、

まずは元国営工場だった老舗ともいえるお店へ。

説明によると、この工場はグジェリでは一番古く、

多くの名工を輩出している町の顔役ともいえるところ。

グジェリ見学ツアーがあれば(まず存在しないと思うけど)

必ずや立ち寄るべき工場で、

グジェリ陶器の歴史と名品を展示する博物館を併設していて、

ここを訪れればグジェリについてのウンチクは

労せずして得ることができる。

 

今回は二度目の訪問となるので、博物館見学はパス。

早速、直売所の扉をくぐる。

 

※今回もグジェリには関係ない写真。

 最初の写真はネコの彫刻です。

 建物から落ちそうなわけではないので、ご安心を(笑)

 

(店主YUZOO)

 

8月 5, 2015 海外仕入れ | | コメント (0)