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2015年7月 9日 (木)

買付おやぢはセミョーノフをめざす(1)

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パスポートを見返してみると、

ロシアに買付けに行くようになってから早や7年。

個人旅行を含めると、10回近く訪れているという

事実を知り、思わず愕然となる。

滞在日数を総計すれば3ヵ月あまり。

留学生ならば生活に支障がない程度に会話が

できるぐらいの日々が流れているのだが、

相変わらず聴く方は熊に耳を踏んづけられたまま、

話す方はやさぐれた九官鳥ていどの言葉数である。

 

この7年間、付け焼刃的に覚えては忘却し、

忘却しては反省し、継続は力なりと戒め、

またロシア語のイロハを覚え始めるの繰り返し。

日々の生活から変えなければ、

アルコールの河さえ渡らなければ、もっと先にある

豊穣な大地に辿り着けたのにと悔やむのである。

 

わたしには向上心というものが欠如している。

やれやれ。

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それでも歳月というのは深くて豊かな人間関係を、

すなわち友情を育むもので、

今年もコブロフさんの家族とナターシャさん、

それに日本から来たチェリパシカ氏と私の計6名で、

モスクワから500キロほど離れたセミョーノフ市で

開催される民族祭とマトリョーシカ工場へ

遊びに行くことになったのである。

 

コブロフさんの家族とはロシアに買付けに行った当初から

お世話になっていて、コブロフさんを通じて様々な

作家を紹介してもらい、私たちだけでは行けない

ロシアの深層部に連れて行ってもらったりした。

日本人が憧れるダーチャ(別荘)でひとときを過ごしたり、

バーニャ(サウナ)でロシア式健康法を

伝授してもらったのも、コブロフさんのおかげである。

 

 

「人生はお金を稼ぐために使うものではない。家族や友達と楽しく過ごすため使うものだ」

という理念のもとに生きているような人なので、

たとえ目的地が何千キロ離れていようと関係ない、

その旅程をみんなで楽しめば良いという考えが基本にある。

それなので私がパレフやマイダンに行きたい

と無理を言っても、嫌な顔をひとつせず、

旅程で必要な食べ物やお世話になる家への

お土産などたくさん買い込んで、

遠足前の小学生のようにウキウキと心躍らせている。

 

日本人が口にする

紋切り型のポジィテイヴ思考なんかでは測れない、

大陸の大らかさがコブロフさんには根っこにあるのだ。

わたしにとってはロシアに住む親戚といっても

差し支えないほどで、

ロシアの何に魅せられているのかと訊かれたら、

コブロフさんの人生観に

ロシアを感じるからだと言えるかもしれない。

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今回、一人娘のパリーナちゃんも一緒に行くことになった。

文字通り眼に入れても痛くないほどの可愛さで、

はにかみながら「ハリネズミは日本語で何と言うの?

と訊いてくる。この旅行のマスコット的存在。

車で10時間という長旅を

微笑みに満ちたものにしてくれる。

ロシアの子どもは、青く澄んだ大きな瞳、

白磁のようなきめこまかな白い肌、

きらきらと光に輝く金髪で、

じっと座っていると西洋人形と見間違えるほどである。

 

しかしロシアという国は子どもの躾に厳しいので、

公共の場で泣いたり騒いだりする子どもを見たことはないし、

どの子どもも家の手伝いを率先して行う。

それはマトリョーシカ作家さんの家だけでなく、

買付けで行くおもちゃ問屋しかり、

デパートや地下鉄しかりである。

 

こんなに可愛いい子どもが、

日本の家庭に生まれてきたら溺愛されて、

箸の持ち方ひとつ教えることすらできずに

大人にしてしまうのではないかと、

つまらない想像を膨らませてしまう。

 

 

ナターシャさんはモスクワの博物館で働いている、

ロシアの美術や民芸品に精通している女性で、

ロシア語しか話さないのに、

なぜか私たちとも無理なく意思疎通ができる、

コブロフさん同様にロシア的な大らかさに満ちた人。

身体のサイズもロシア的な大らかさで溢れている。

セミプロの写真家の顔もあるようで、

カメラを片時も離すことなく、日に何百枚も撮影している。

今回の旅行の写真をデータにして

プレゼントしてくれたのだが、

3泊4日の旅にもかかわらず、

700枚以上の写真が収められていた。

その身体とエネルギーに、いつも圧倒される。

 

そしてすべての問題は

何となく解決することができるというのが信条の、

お気軽が取柄の私たちふたり。

セミョーノフまでの旅行は、たとえて言うならば、

お盆で帰省する親戚一同という雰囲気。

 

旅、始まる。

 

(店主YUZOO)

 

7月 9, 2015 海外仕入れ |

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