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2015年7月24日 (金)

買付おやぢはセミョーノフをめざす(4)

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乗客が減り田園風景のなかを電車が走るようになると、

物売りも顔を見せなくなり、車内は静寂に包まれる。

ロシアの短い夏を楽しむかのように、

木々は鮮やかな緑を放ち、草原はどこまでも続く

若草色の絨毯である。

 

たとえ車窓の景色から目を5分離したところで変化はなく、

静止画像のように緑のままである。

いつかシベリア鉄道で

ウラジオストックからモスクワまで旅することがあったら、

夏の原野を眺めながら、取るに足らないことを夢想し、

ゆっくりと行こうと思う。

 

冬の雪と氷に閉ざされた荒野を一週間も見せられては、

精神薄弱なわたしは耐えられず、昼から酒を飲んでは、

夢と現実のあいだを往き来することになりかねない。

大げさに言えば、

ロシアの列車旅はこの悠久なる時間と不変なる景色に、

いかにして向き合える精神を

持つかにかかっているのではないか。  

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シベリア鉄道が華やかな頃、

この鉄道でモスクワやヨーロッパを

目指した文士や芸術家がいたが、

多くの人々は、モスクワに着いてから、

パリに着いてからのことばかりを考えて、

この時間に飲み込まれないようにしていたにちがいない。

わずか一時間半ていどの電車であっても、

景色と時間に倦んでしまうのだから、ロマンチックに

時を忘れてシベリア鉄道の旅と洒落込むのは、

所詮わたしには不相応の絵空事なのだろう。

 

硬いシートにお尻が悲鳴をあげそうになった頃に、

グジェリ駅に到着。

陶器で有名なこの町は、ダビドボの近くにある。

今回、この駅で待ち合わせにしたのは、

ロシアにいるからには何でも買付してやろうという

商売人魂がそうさせたと言いたいところだが、

電車のダイヤの関係で、

程よい時間にダビドボに着く電車がなかっただけである。

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グジェリ来るのは今回で3回目。当然のことながら

モスクワ市内で買付するよりも価格は安く、

知られていない作家作品を見つけることができるのが、

大きな魅力ではある。

あと運がよければ、製作現場を見ることもできる。

自然と心が躍るのも無理もない。

 

※今回もロシアで撮影したものですが

 本文とは関係ないです。何だかねえ。

 

(店主YUZOO)

7月 24, 2015 海外仕入れ |

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