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2014年2月 4日 (火)

純情こけし東北めぐり旅(6)

 

 

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「こちらが父の作品、これは私のつくったもの。まだ私は絵付けしかできなくで、木地はすべて父が削っているんです」

 

 

梅木工人はこけしづくりに専念して、

まだ1年を少し過ぎたほど。

駆け出しの自分を謙虚に受け止めていて、

説明する言葉の中に、父に対する、

いや師匠である父に対する畏怖にも

似た尊敬の念が感じられる。

 

 

 

原木から木地を削り出し、絵付けを施し、

道具から治具に至るまでのすべてを、

熟練の手でつくりあげる、父の姿に、

立ち振る舞いに、その背中に、

伝統を継いでいる重みを感じるのは当然だろう。

 

 

梅木さんは、こけし工人になる前は

外車の販売会社で働いていたそうである。

伝統と最新。木の肌触りと鋼鉄の輝き。素朴と豪奢。

 

 

まったく異なる世界に転身した梅木工人の決断力に、

今度は私たちが尊敬の念を抱いてしまう。

そしてこけしを愛する者にとっては、

途絶えることなく次の世代に継承された喜びも。

 

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「この模様は重ね菊といって、咲き乱れる菊をイメージした伝統模様。こちらは梅ね。この伝統模様には、それぞれ名前がついているのよ」

「ちゃんと季節を感じるように描かれているんですね。すごいなあ」

「この伝統模様をこけしにではなくて、和紙に描いても面白いの。こけしの顔って穏やかだから、葉書にしたり、色紙にしたりすると、結構喜ばれるのよ」

「わかります、わかります。ありがたい感じがあって、色合いも綺麗だし」

「仏画とは違うからもらう方も困らない」

「私、仏画もらったら、飾るに困っちゃうな」

 

 

 

梅木工人とayumiさんは初対面だというのに、

すぐに打ち解けて、こけし談義に花を咲かせている。

 

 

女同士というのは初めて会った人でも、

すぐに何年来の友人のように接することができる

特別な本能があるに違いないと、昔から思っていた。

 

 

男同士だとそうはいかない。

最初の一言を交わすのに、かなりの時間を要して、

その会話の内容も景気や政治もしくは下半身の話で、

無理矢理に親近感を持たせようとする。

 

 

その会話からもれる枯れ果てた笑いは、

一緒に聞いている者にまで苦さが染み込んでくる。

なにゆえに男は会話が苦手なのか。

私の妄想的結論は、こうである。

 

 

 

原始時代から常に男は、

まず食べ物を探し与えなければならず、

近隣の村落とは戦うか、友好を保たなければならず、

同じ村落の仲間には何を考えているのか

腹の内を探らなければならず、

表向きは大志を抱かねばならず、

奥さんの機嫌を表情だけで見極めなければならず、

とにかく神経症になるぐらいに義務に追われている。

 

 

自分以外の他者というのは、

いつ寝首をかきに襲ってくるのか、

甘い言葉の裏には何があるのだろうかと、

終始怯え怖れおののかなければならない存在。

安易な発言は、相手の敵対心を煽ることになりかねず、

恨みを抱かれる原因になりかねない。

 

 

それゆえに景気や政治もしくは下半身といった

少し本筋を外した内容で、

相手の顔色をうかがうようになってしまった。

なるべく自分の感情を出さないようにと

細心の注意を払いながら。

 

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それに比べて女性は、

自分たちの村落のコミュニティー維持を第一に考えるから、

他愛のない雑談も、ゴシップ的な噂話も、

ダメな旦那の悪口も、子どもを叱りつける言葉まで、

すべて女同士の仲間意識を確認するため、

絆を深めるの手段であり、深い真意もない。

 

 

まず話をすることが必要であって、

それほど中味は重要ではない。

男が理解しがたい雑談も、女性にとって必然なのである。

 

 

それに比べて男性は相手の素性を知ろうと会話をする。

 

 

そんなわけで、二人の楽しげな会話に上手く入れず、

眼を細めて好々爺然と微笑んでいた次第である。

 

 

ああ、余談が長すぎた。

 

(店主YUZO)

 

 

2月 4, 2014 国内仕入れ |

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