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2013年12月25日 (水)

小我野明子『ロシア 暮らしの中のかわいい民芸』

Photo  

今日は木の香でも取り扱っている本の紹介。

『ロシア 暮らしの中のかわいい民芸』

(パイ・インターナショナル)

 

近鉄奈良駅近くで「マールィ・ミール」という

ロシア雑貨店を経営する

小我野明子さんが書いた本である。

 

アルハンゲリスク・サンクトペテルブルク、

モスクワ近郊の伝統的な民芸品を

アカデミックな立場からではなく、

女の子ならではの“かわいい”という目線でセレクトし、

さらに手づくり工芸品のもつ優しさ、素朴さ、繊細さ、

色鮮やかさなどを写真で教えてくれる

目で楽しむ本になっている

 

紹介されている民芸品は、

ホフロマ、ジョストボ、グジェリ、ベレスタ、

ブラトーク、フイニフティ等々、

もちろんマトリョーシカも。

 

 

なかでもワーレンキ、ボゴロドスコエ、粘土人形などは、

ロシア民芸品を初めて目にする方には、素朴さのなかに

潜んでいる力強いかたちに圧倒されるかもしれない。

生活雑貨ゆえに無駄な装飾は廃し、

機能と耐久性が重要視されている点も見逃せない。

生活雑貨の単純にこそ美が内在している、

典型的な見本である(ちょっと柳宗悦風に)。

 

小我野さんは、

今や日本では失いつつある手づくりの美を求めて、

ロシアを旅していることだけは間違いない。

 

まあ、それは別として、

小我野さんの制作している現場を見たいという好奇心と、

フットワークの軽さに、ただ驚かされるばかりである。

 

日本地図のようにロシアを眺めてはいけない。

それに日本の道路のように整備されているわけでもない。

 

今年、私はムスチョーラとパレフ

の制作現場に赴いたのだが、

パレフでは日本人が訪れたのは7年ぶりと言っていたし、

ムスチョーラの工房にいたっては、

初めて見たと興奮していたぐらいである。

それを踏まえると、小我野さんのたくましい行動力が、

お分かりいただけると思う。

 

奈良のお店にお邪魔したときに常に話すのは、

少しでもロシアが身近な国になって、その魅力を

理解してくれる人が増えればという小さな願いである。

自らロシア文化の伝道師と称している。

 

伝道師は、多少ロシア語が理解できなくても意に介さず、

“かわいい”を独自の嗅覚で感じ、新たな場所、

新たな出会いを求めて、ロシアの広い大地を旅している。

そしてその成果を、誰もがロシア民芸の温かさに

思わず微笑んでしまうような素敵な本にして、

ロシア文化の布教をしてくれるのである。

 

同じ志を持つものとして頭が下がる思いと、

まだまだ私も甘いねぇという気持ちにもさせてくれる。

 

もし奈良を旅することがあったら、

ぜひ「マールィ・ミール」にも立ち寄ってみてください。

昔懐かしい日本家屋に、

ロシア雑貨がおだやかな顔で並んでいる。

日本とロシアの生活の香りのする空間に、

店名の“小さな世界”が、理想郷として広がっている。

 

(注)МИР(ミール)は、世界という意味のほかに、

   平和という意味もあります。

 

 

(店主 YUZOO)

12月 25, 2013 ブックレビュー |

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