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2013年11月21日 (木)

セピア色になることのない音楽のために

Z 

先回に引き続きポール・マッカトニーの話。

  

今回のツアーでは

ビートルズ時代の曲が多いと巷では噂されているが、

思え返せば、すでに40年以上前に解散したバンドの曲。

  

ふつうならば古き良き時代の音楽として、

同時期に青春を謳歌した人々の懐かしのメロディとして

胸の奥に静かに納まり、

たまに酒場の片隅から流れる有線放送に合わせて

口ずさむのが、流行歌の正しい在り方。

もしくは行く末。

  

消えゆくことはあるが、もう輝くことはない。

  

しかしそんな俗説、何をか言わんやである。

  

時代が移り変わろうとも、

ビートルズは新しいリスナーを獲得し続け、

初めて聴いたときの感動をそのままに、

決して古びることはない。

  

良いメロディは永遠であると嘯くことは可能だけども、

そんな教科書のごとき言葉が解答であるはずがない。

決して言葉で言い表せない、

ポピュラー音楽だけが持ちうる魔法が、

ビートルズが創り出した音には、

たくさん散りばめられているからだ。

  

それを証拠に、じっくりと耳を傾けると、

聴き慣れた曲のはずなのに、新たな音の発見があり、

ふとしたことで別のメロディの美しさに気づかされる。

これを魔法と呼ばずして、何と言い表そう。

  

ビートルズは世界で一番聴かれていると同時に、

一番カバーされているバンドでもある。

ジャズ、クラッシック、ソウル、レゲエ、

マンボ、フォーク、カントリー、果ては日本の民謡まで、

ジャンルを問わずにカバーされてきた。

 

  

在る者は、その魔法を解明するために。

在る者は自分も魔法が使えないかと望みを託して。

在る者は純粋に魔法の世界にどっぷりと浸かりたくて

 

この『健’z』というアルバム。

エル・アールの黒沢健一と

音楽評論家の萩原健太のユニットで、

ポールに対する限りない愛情とリスペクトに満ちた、

煌めく魔法に酔える好アルバムに仕上がっている。

 

アコスティック・ギターのみのシンプルな伴奏は

メロディラインの美しさを際立たせるし、

丁寧に歌う姿勢は曲への感謝の気持ちに溢れている。

 

数あるカバー・アルバムのなかでも、

純度の高さにおいて指折りの名盤ではなかろうか。

 

ちなみに2曲だけ入っている

ブライアン・ウイルソンのカバーも胸キュンもの。

 

今宵は、明日訪れる夢の時間にそなえ、

はやる気持ち抑え、このアルバムを聴いている次第。

というのも、実は明日東京ドームにポールのコンサートに

急遽行くことになったのである。

 

ゆえに興奮抑えきれない微熱な文章になってしまった。

 

氷上のシロクマのような気分で申し訳ない。

 

(店主YUZOO)

11月 21, 2013 店主のつぶやきCDレビュー | | コメント (0)

2013年11月18日 (月)

ポール・マッカートニーがやって来る!!ヤー!ヤー!ヤー!

  

Photo_2  

ポール・マッカートニーが来日している。

11年ぶりの日本公演。御齢71歳でのステージである。

私は熱心なポールマニアというわけではないが

1980年あたりまでの作品は、一通り聴いている。

  

なぜ1980年までかというと、

ポピュラー音楽業界が肥大化するにつれ、

消費システムに飲み込まれ、実験性や革新性を失い、

どの曲も同じようなアレンジ処理がなされ、

売れている曲こそ名曲であるという

流れになってきたためである。

 

そのような仰々しい曲を一括りにして

産業ロックと半ば皮肉って呼んだのも

この頃だったと思う。

ポピュラー音楽と決別したのは、

そんな音楽をつまらないと感じたためである。

 

 

もちろんポールのせいではない。

 

そんな私の勝手な思い込みとはよそに、

ポールは一度たりとも創作活動を滞らせることなく、

稀代のメロディーメーカーとして新譜を発表し続け、

こうしてツアーにも出て、

はるばる日本までやって来たのである。

  

しかし、なぜこの年齢になってツアーに出る

必要があるのだろうかと、凡人ならではの疑問もわく。

日本でいえば、

あと4年で後期高齢者に達する年齢である。

いつも通り、良い曲を書き続け、

コンスタントにアルバムを発表しているだけで

十分なのにと考えてしまうのは、浅墓ゆえか。

  

ポールの本音は何処にある?

  

さてこの疑問を少しばかり和らげてくれるのが

中山康樹『ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか』

という新書。

この本には60年代のロック黎明期に

輝かしくデビューを飾り、今も現役で活躍する

ミュージシャン14人の生き様を論じている。

もちろんポールについての項もある。

<すなわちポールは、ビートルズ時代から変わらず挑戦意欲を持ち続け、前衛芸術に対する抑えきれない創造的衝動を抱えたまま、創作活動を継続している>

とポールの創作への姿勢を見極め、

下記の言葉で締めくくっている。

<その引き算の潔さと高い音楽クォリティー、そして無尽のエネルギーと創造力。……ビートルズ時代に十分に与えたにもかかわらず、さらに多くのものを分かち与えようとしている>

すなわち、今回のツアーは

懐古的なものでも集大成的なものでもない。

たとえ演目にビートルズ時代の曲が多くとも、

そこには創造というスパイスが効いているはずである。

  

ポール、ここ30年ばかり熱心に聴かなくて、

本当にごめんなさい。

  

(店主YUZOO)

 

 

 

11月 18, 2013 店主のつぶやきブックレビューCDレビュー | | コメント (0)