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2013年5月21日 (火)

グジェリ工場訪問記(8)

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チャーミングなお婆さんの懇切丁寧な説明が終わると、

次に絵付けをしている部屋に通される。

グジェリは一般的な生活雑貨の磁器が中心であって、

マイセンやウェッジウッドのような高級品には

目を向けていないと思っていたのだが、さもありなん。

ディナーからティータイムまでを網羅する

ディッシュセットや置時計も制作しているのである。

もっともそれらを絵付けする職人は限られているらしく、

狭い部屋にふたりだけ、黙々と作業に没頭している。

 

興味深いのはグジェリといえば

白地に青で絵付けするのが定理、

原則だと思ってばかりいたのだが、緑で絵付けされ、

効果的に金も施されている。

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今まで見てきたグジェリとは、まったく別物に見え、

思わずため息が漏れる。

昔、ノリタケの工場を訪問したとき同じ感動である。

最高級品を目指さないことには、それに伴って技術も

上がっていかないということの表れなのだろうか。

 

職人の眼には私たちは映っていないようである。

静寂の中に絵筆を走らす音だけがきこえる。

私の拙い語学力では、部屋の空気を乱すだけである。

早々に「高貴なる沈黙の部屋」をあとにした。

 

次に訪れたのは、巨大な窯が並び、

レールが敷かれた貨物操車場みたいな場所。

窯の高さは5m近くあり、何棟も連なっている様は、

たとえが悪いが火葬場を想起させる。

幾重にも器が積み上げられた、何トンもある台車を、

女性たちが力を合わせて窯の中へ誘導していく。

しかも積み上がった器が崩れてこないように注意深く。

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たいへんな重労働である。

なぜか男性はひとりもいない。

「あなた、働きたいのならば、今すぐに働けるわよ」

と冗談とも本気ともつかぬことを言われたが、

一連の作業を見ている限り、

あながち嘘ではないようである。

 

夏場は窯の放射熱と、

なかなか沈まない太陽のおかけで40度近くなるそうで、

そのなかで仕事を続けることは、

気力、体力のほかに、忍耐と連帯が必要にちがいない。

誰かひとり欠けた分だけ、

その分ほかの誰かが重荷を背負うことになる。

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腹痛だの、頭痛だの、

二日酔いなどの屁理屈は言っていられない。

「男手があれば楽なのにねぇ」と声を上げて笑いつつ、

コブロフさんとチェリパシカ氏をちらりと見る。

(なぜか私には視線は注がれない)

 

ロシアの母たちは重労働を毛嫌いするどころか、

むしろ楽しんでいるかのようである。

その屈託のない仕草に、ロシアの母たちの

大らかな忍耐を感じずにはいられなかった。

 

(店主YUZO)

5月 21, 2013 海外仕入れ |

コメント

 先日銀座のお店に行ってきましたよ。

 銀座の一等地じゃないですか!

 じぇじぇじぇです。

 いくつか購入してきましたが、ロシアのバッジはピンがやや甘かったので、外れて紛失してしまい、ちょっと残念です。

 また近くに行ったときは、立ち寄りたいです。

投稿: 中野 洋 | 2013/06/08 11:15:52

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