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2012年8月21日 (火)

オリンピック閉会式・雑考

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早いもので感動と熱気に包まれたロンドンオリンピックから

10日以上が過ぎてしまった。

前回の北京は、国の威信をかけた国家事業を強く印象づけたが、

今回は純粋なスポーツの祭典の風を感じたのは、私だけだろうか。

 

閉会式も大掛かりな仕掛けはなく、イギリスの音楽史50年と

銘打ったステージは、ミュージカル仕立てでありながら、

一筋縄ではいかないシュールで狂気を秘めた笑いを届けてくれ、

やはりモンティ・パイソンの国なんだなと呟いてしまった。

 

大砲の弾となって空高く飛ぶ男の寸劇、

奇妙な衣装をまとった人々が出てくるサイケデリックなバス、

高級車が大きな蛸になるや、その中心で嬉々として演奏するDJ。

実に奇妙、奇天烈、奇抜、滅裂なステージが繰り広げられて、

飽くことがない。

日本では、こんなナンセンスなステージ構成は無理だろう。

 

そして、ふと思ったのは、

60年代にビートルズが制作した映画『マジカル・ミステリー・ツアー』は、

この閉会式の着想やアイデアは同根にあるのではないかということ。

この映画は当時、酷評さけたらしいけれども、

ストーリーを追わずに、ビートルズの奇想天外な発想に主眼をおけば

この閉会式同様に、イギリス的な笑いを十分に楽しめるのでは。

 

ほかに閉会式での驚きを記すと、

まだまだマッドネスが現役のバンドだったという事実。

日本ではホンダのCMで一躍有名になり、悪く言えば一発屋と

いう扱いに近いバンドなんだけれども、本国イギリスでの人気は

別格のようで、出てくるなりの大歓声には唖然とした。

 

さらにキンクスのレイ・ディビスが

「Waterloo sunset」を歌ったのには感激。

ロンドンの街並みや風景、中産階級の生活をテーマに

シニカルに、皮肉たっぷりに歌いつつも、

誰よりもイギリスを愛しているミュージシャンである。

この選出にはイギリスIOCに金メダルを授けたいと思ったのは

私だけだろうか。

 

そして大トリは、大御所ザ・フー。

ザ・フーを知らない人に簡単に説明すると、

もっともエキサイティングなライヴをすると評されたバントで、

モンタレー、ウッドストックというロック史に燦然と残る

フェスティバルに参加して伝説を残し、

その間にロックオペラを制作したり、リーダーの

ピート・タウンゼントは小説を執筆したりと、

狂気と創造が混沌と同居したバンドである。

 

全盛期のアクションは観られなかったものの、

まだまだ死ぬまでロックし続けるぜという

生き様がダイレクトに伝わってくる。

 

そして放送終了間際、「My generation」を

始めたのが、はっきりと聴こえた。

激動のロンドンといわれた60年代半ばに、

「このまま年をとるぐらいならば、死にたいぜ」

と高らかに歌った名曲である。

この曲を発表した当時のメンバーの二人は、もう他界している。

そして残された、すでに60歳を越えた二人が

決して手を抜くことなく楽しみながら演奏している。

I hope I die before I get old

 

この歌詞を歌う時、

残った二人の頭の中に何が思い浮かんでいるのだろう。 

 

もちろん何事もひとつのことをやり続けることが肝心などと、

訳知り顔で人生を語るつもりはない。

(店主YUZO)

8月 21, 2012 店主のつぶやき |

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