バーバーヤガは心優しきお婆さん?
今日はロシア民話の話。
先日、『世界の民話』(全12巻・ぎょうせい刊)を手に入れた。
持ち金がなかったので、ロシア民話が収録されている
東欧Ⅱのみを泣く泣く購入。
個人的な思いとしては、マトリョーシカ界でもお馴染みの
バーバーヤガが、どんな役割で登場するのか
が気になるところである。
最初に収められているのは比較的に有名な「かえるのお妃」。
三人の王子がお妃をむかえいれる年頃になり、
王が放った矢を手にした者をお妃にしないという言い付けの許、
三人はそれぞれ相手を見つけるのだが、
不運か幸運か、末っ子はかえるが矢を手にしていたため、
かえると結婚することになってしまう。
周囲から嘲笑を買うなか、かえるは美しい布を織ったり、
美味しいパンを焼いたりして、王家の人たちを驚かせる。
というのも、このかえるは龍の呪いのために、
かえるに姿を変えられた美しい娘。
その美しい娘に再び逢うために王子は、
「三十番めのよその国、骨足のババ・ヤーガのところ」
へ旅に出るのである。
さてその骨足のババ・ヤーガと王子が出合ったときの会話。
「ときどき来て、頭のしらみを取ってくれる子だね」
「えっ?どこにいる?教えて」
「弟のところで働いているよ。日やとい女だね」
そして王子が熱心に弟の居場所をきくと、
「(中略)だが、気をつけな、ひどいめにあうよ!そのお妃とやらを見つけたら、一目散につれて逃げるんだよ。わき見をするんじゃないよ」
王子はババ・ヤーガに礼を言って立ち去った。
この民話ではバーバーヤガは親切なお婆さんの役。
身内の許で下働きしている
お妃を救うための助言をしているのである。
実はこの「かえるお妃」は
ソビエト時代にアニメ化している話なので、一度ご覧あれ。
妖異な風貌のバーバーヤガは黒魔術の祈祷師のようでもあり、
森の中で出会ったら、まず逃げ出すだろいう異様さ。
親切な心持ちとのギャップを映像で楽しむことができる。
他人を風貌だけで判断してはいけないという良い見本。
性格というのは、一筋縄ではない。
ちなみにお妃をかえるに変えてしまった龍は、
三つの頭を持っていて、火を吐いたりと
ゴジラ映画の敵役キングギドラに瓜二つである。
古今東西問わず、
民話に描かれる怪物の創造性には驚かされる。
この民話集には、ほかにも上半身が人間、下半身が熊
という「イワン・くまっ子」。
長靴をはいた猫と似た「雄ねことばか息子」。
欲深い人間には天罰がくだるという「魔法のぼだい樹」。
奇想天外な話が収められていて、
つまらない小説を読むより数段面白い。
上記の挿絵は「イワン・くまっ子」。
横にいるのはくまっ子に騙される小悪魔ちゃん。
とてもキュート!
(店主YUZO)
6月 17, 2012 店主のつぶやきブックレビュー | Permalink
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