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2012年5月 9日 (水)

苦いブラックで一服を

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最近堅い話が多かったので、今回は気分転換でジョーク集を。

早坂隆著『世界の紛争地ジョーク集』(中公新書クラレ)。

物騒な題名がついたこの本は、為政者を皮肉ったもの、

対立した民族を小馬鹿にしたもの、自虐の笑い、

赤、黒、茶、黄、白と様々な色の小咄が入っている。

 

住む国、地域が異なれば

必然的に笑いの質も異なるのは当然としても、

そこには積年の恨みがあったり、

大国の論理で翻弄される怒りがあったりと、

極東の島国では、

その笑いの深さが理解し得ないものもある。

 

ただ笑いを伴ってこそ活きるジョークである。

ではこの本で紹介されている少々苦味のあるブラックはいかが?

 

●イラク

ある時、サダム・フセイン大統領が何者かによって誘拐された。数日後、犯人グループから大統領宮殿に電話がかかった。

「いますぐに百万ドル用意しろ。さもなければ大統領を生かして帰すぞ」

 

●パレスチナ

ある時、ユダヤ人で満員のバスが崖から落ちて、乗客全員が死亡した。それを二人のパレスチナ人が見ていたが、そのうちの一人がやがて大粒の涙を流し始めた。その様子を見てもう一人が聞いた。

「どうして泣いているんだい?乗客はユダヤ人だ。別にいいじゃないか」

涙を拭いながら彼は言った。

「でも、俺は見たんだ」

「何を?」

「席にひとつ空きがあった」

 

●アフガニスタン

ブッシュ大統領とビン・ラディンが電話で話していた。ラディンが言った。

「今日はあなたに二つのニュースがあります。一つは良いニュースでもう一つは悪いニュースです。どっちから聞きますか?」

「じゃあ良いニュースから」

「アメリカ人捕虜を全員返すことに決めました」

「本当ですか?それはありがたい。で、悪いニュースは?」

「はい、ニューヨークに飛行機ごと返します」

 

●旧ソ連

ニューヨーク発モスクワ行きの旅客機がいよいよ着陸態勢に入った。機内アナウンスが流れる。

「まもなく投機はモスクワ国際空港に到着いたします。なお、アメリカとの時差は二十年と一時間でございます」

 

●ハンガリー

ハンガリー人「今度、我国に海軍省ができるんだ」

ロシア人「何だって?でもハンガリーには海がないじゃないか」

ハンガリー人「でも君の国に文化省があるんだぜ」

 

●アルバニア

アルバニア初の国産飛行機がついに完成した。国民は大いに喜んだが、初フライトで墜落してしまった。翌朝の新聞はこの事件をこう報道した。

「アルバニア一号機、あえなく墜落。死者は百人を超える模様。原因は石炭の不燃・・・・・」

 

●フィリピン

ある日、エストラーダ大統領が、なぜだか随分に嬉しそうにしていた。それを見た側近が言った。

「何やら嬉しそうですね、大統領。何かいいことがありましたか?」

「実はね、脳に腫瘍があることがわかったんだ」

「それでなぜ喜んでいるのですか?」

「私にも脳があることを証明できたからね」

 

このブラックは少々ほろ苦いと書いたけれども、

胃の側壁がじっとりと汗をかくような強い酸味。

平和に浸った内臓では消化するのに難儀する笑い。

世界は実にタフにできている。

(店主YUZO)

 

5月 9, 2012 店主のつぶやきブックレビュー |

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