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2011年12月 6日 (火)

箱石博昭「スパシーバ!ロシア」

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1990年代がロシアに関する本の出版ブームだったのではと、

今になってそう思う。

世界を二分していたイデオロギーの片方の総本山が、

戦争によってではなく、改革を進めていくうちに

自ら崩壊してしまったのだから、その内情や経過を

知りたい気持ちが出版ブームを後押ししたのも無理もない。

ただ政治や経済に終始していて、

ロシアの生活や文化、芸術といったものを、

ほとんど伝えていなかったのは、残念であるが。

 

幅広く伝えていれば、未だによく訊かれる

「物が不足しているんでしょうね」

「ロシア人は、物静かで暗いんでしょ?」

「ロシアマフィアには気をつけてくださいね」

といった質問も減っていたはずである。

 

だいたいロシアマフィアがマトリョーシカ仕入れに奔走している

着る物に無頓着な汚い格好した日本人を付狙うわけがない。

せいぜいスリが後を付けてくれば良い方である。

 

この本は著者が1995年から3年間、大使館付属の

日本人学校の教員として赴任した思い出を綴ったものである。

まだソビエト崩壊から数年しか経っていない混乱期とあって、

今の私たちのように気軽に地下鉄やバスに乗れるわけでもなく、

安いカフェやレストランで食事ができるわけもないので、

行動範囲も限られため私的な事柄が主な話題。

ただ読んでいて10年経って変わらないと思うことが、

いくつかあったのが興味深かった。

 

友人にはとても親切にする性格や

何でも自分で道具をつかって作り上げてしまうなど、

いつも世話になるコブロフさんやミーシャさんにそっくりである。

また警官が犯罪から守ってくれる頼りになる存在でなく、

賄賂目当てに尋問し、いい加減な理由をでっち上げて

金を巻き上げることも。

 

私たちも先々回、チェリパシカ氏がバウチャー(滞在証明書)を

所持していなかったことで捕まった経験がある。

明日ホテルが発行してくれると説明しても、

ホテルの領収書など見せても取り合ってくれず、

なんだかんだと言いがかりをつけて違反金と称する賄賂を取られた。

釈放されたときの警官の文句が、輪をかけて小憎らしい。

「今度ほかの警官に捕まったら、俺の名前を出せ。

そしたら金を取られずに釈放されるから」

 

この手の話を書くと、まだまだロシアは物騒だと思われるから、

この辺りで止めておこう。

この手の話はいくつかあるけれどネ。

(店主YUZO)

12月 6, 2011 ブックレビュー |

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