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2011年12月 2日 (金)

掟破りのジョージ・フェイム

Georgiefamerhythmandblues449501 

粋に生きることは難しい。

宵越しの金は持たねぇというような江戸っ子気質の気風の良さは、

この物が溢れかえった次代には、

かえって困難な生き方だという気がする。

 

目に飛び込んでくるのは購買意欲を駆り立てるキャッチコピーや

魅力的なパッケージに彩られていて、

所詮、いずれは物なんぞは壊れてしまうか、

こちらがこの世からおさらばしちまうんだからと嘯いてみても、

視線はずっと見つめたまま、その場から立ち去ろうとしない。

財布のなかを見つめて、

明日から給料日まで牛丼で過ごせばいいんだからと、

勝手に納得させて、ついつい買ってしまう。

 

これがいけない。

染みっ垂れていて実に粋ではない。

そもそも蒐集するという道楽は

粋とは正反対の生き方かもしれない。

しかし敢えて粋な心意気で蒐集する道を探り出すのが、

真のコレクター道楽なのかと考えた次第。

 

具体的に説明すると、自分のなかで様々なルールをつくって、

その範囲内で蒐集していくのである。

10年以上探し続けている喉から手が出るほど欲しい逸品でも、

ルールを越えていれば、きっぱり未練なく諦める。

間違って同じ物を買ってしまっても後悔しない。

セット物なら5000円まで、その他は2000円以下、

新譜は買わない、購入は一度に5枚まで、

と次々と粋なコレクター道を探るべくルールをつくっていった。

 

しかしそのルールを一度だけ破ってしまったのが本作である。

もう5年も前のこと。

世界初CD化で出るという情報を訊きつけ、

思わずアマゾンで予約してしまったのである。

 

このアルバムはLP時代は中古レコード屋の超レア盤扱いで、

うちの店はこれを持っているだぞとばかりに誇らしげに壁に飾られていた。

それが何とも羨ましく、価格を仰ぎ見るとゼロが5つも並んでいる。

当時私は中学生。

買えるはずもなく、指を咥える以外になかった。

 

しかしレア盤には惜しみなく金を出す人がいるもので、

3ヶ月も経たぬうちに中古レコード屋の壁から消えていた。

それ以来、28年ぶりの涙の再会だったのである。

 

ルールは破るためにあると嘯くどころか、

気が焦りすぎて、震える指先で何度も購入手続をミスする有様。

それでも売切にならず購入が

成立したときの至福感は忘れられない。

そして届いた日は、はしゃぎ過ぎて何度も聴き返し、

家族から白い目で見られる始末である。

 

粋に蒐集することは、実に難しい。

(店主YUZO)

12月 2, 2011 CDレビュー |

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