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2011年12月26日 (月)

町田康「猫にかまけて」

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動物愛護法が改正されるそうである。

私はそれについては全くの無知で、

友人のメールで知らされた。

 

論点となっているのは、ブランド犬猫を量産するため

劣悪な環境で、産めや増やせやと、

飼育している悪徳繁殖業者の取り締まり、

インターネットや店舗を持たないペット販売の規制、

夜間販売の禁止、実験動物や畜産動物についてなど

多岐に渡って議論が交わされているそうだ。

 

改正の元となっているのは、年間約28万匹の犬猫が、

飼い主からの依頼や飼育放棄、

捨てられたり野良化したものが処分されているという現実。

しかもそれら捨てられた動物たちは、

飼い主に飼育放棄された心の傷が癒える前に、

狭い部屋に閉じ込められて、

怯えながら恐怖心だけ残して死んでいく。

 

まったく無知とは恐ろしいもので、ペットを飼うと決めた以上、

そのの愛犬なり愛猫なりが死ぬまで面倒をみるのが、

最低限の心得だと思っていたし、これほど夥しい数の動物が、

飼い主の身勝手な理由で殺されているとは、

事実を知って呆然としたまま

開いた口が塞がらない状態である。

 

この本は、今飼っているペットを処分しようかと

悩んでいる人に読んでもらいたいので紹介します。

 

著者と22年間、連れ添った愛猫ココアがおとろえから、

だんだんと食事もミルクも摂らなくなり、

日を追う毎に衰弱していく。

もう死は扉の前まで来ている。

もしかすると奇跡が起こり昔のような元気な姿に戻るのではと

無償の愛を注いで、献身的に介護をする姿が痛ましく、

涙なしでは読み進めることができない。

楽しいことも悲しいことも共に過ごしてきたのだから、

ココアの最後は後悔することだけははたくないと、

全身全霊でもって尽くすのである。

 

しかし自然の摂理には抗えない。

ココアは空へと旅立ってしまう。

 

放心状態のなか著者は、こう記している。

「もっとも辛いのはココアがいなくなっても普通の日々が続いているということだ。

今日も部屋に日が差し込んで、新聞が届けられ、私は仕事に出掛ける。ココアがいなくなってもココアがいたときと同じように毎日が続いていく。」

 

あなたにも、この絶望的な喪失感を、

今捨てようとしているペットに対して持っていたとしたら、

いかなる理由があろうとも留まるべきだと思います。

(店主YUZO)

12月 26, 2011 ブックレビュー |

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