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2011年9月20日 (火)

M・ブレジンスキー著「ロシア・アンダグラウンド」

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昔から古本屋と中古レコード屋を巡るのは好きである。

古い物だけが醸し出す空気と、時代に取り残されたような雰囲気が

体質に合うのか、中学生ぐらいから、

古本屋という看板があると躊躇することなく、

店の扉を開けてしまうのである。

 

最近は職業柄か背表紙にロシアという文字があると、

ついつい購入してしまう傾向にある。

 

ソビエト崩壊後、ロシアを論じた本は無数に出ていて、

渾身のルポルタージュから眉唾的ないかがわしいもの、

政治論やら軍事論といったサラリーマンのおじさんが好みそうなもの

そして伝統工芸やデザインといった私的にはストライクなもの、

とにかくソビエト時代は語られることが少なかっただけに、

ここ20年はロシアを語るのがトレンディなのかもしれない。

 

さてこの本の内容だけれども、

資本主義経済が怒涛のごとく流入し、濁流となり、

ロシア国民を渦に巻き込み、価値観の転換を迫られた時代、

その一方で金のなる木を嗅ぎつけて、

短期間に巨万の富を築く人々をルポルタージュしたもの。

 

市場経済だの、投資だの、株式だの、為替相場だの、

金の切れ目が縁の切れ目だの、

ほとんどの国民が理解できないなか

頭の良い人たちは、国営企業をいち早く私有化していって

欧米やヨーロッパから資金調達して巨大企業化させたらしい。

 

・・・らしいと書いたのは、本の内容が眉唾かということでなく、

自分にはこのたぐいは興味の無い話だからで、

金儲けをたくらむ人たちは、市場予測が早く、

行動が早いのだろうと、その決断力に感心するばかり。

自分に少しでもその才があればねぇと唖然とした面持ち。

 

この本でアルバート通りをこう記している。

「プラーガはモスクワでは有名なレストランで、アルバート通りの一番端にある。丸石が敷き詰められたその歩行者専用の大通りは、かつてプーシキンが住む優雅な青色の豪邸があったが、今は職人たちが、笑みを浮かべたエリツィンやクリントンのマトリョーシカ(入れ子人形)を売り歩いている」

 

ここ10年、アルバート通りは変わっていない。

(この本の出版は2001年)

 

その事実を知るために、400頁もあるこの本を、

かすれ眼を擦りながら、

読んでいたのかもしれないというのが読後感。

(装丁はロシアン・ア゛ヴァンギャルドな表紙で良いセンスだと思う)

 

(店主YUZO)

9月 20, 2011 ブックレビュー |

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