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2011年9月26日 (月)

小我野明子著「おとぎの国 ロシアのかわいい本」

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今日レビューをするのは、

ソビエト時代の絵本を紹介したカタログ本。

 

第一印象は、よくもまあこれだけ集めましたと、

尊敬の念にも似た気持ち。

 

紹介されているほとんどの絵本が

16~24頁ぐらいの薄っぺらいもので、

印刷も紙も粗雑で、よくいえば素朴な装丁。

しかもつくられたのがソビエト時代。

たぶんソビエトの崩壊で版権がうやむやどころか、

版下も無いと思わせるものばかりである。

 

これらの絵本を集めるには、

まめに蚤の市や露天商、古本屋などを巡らないと

手に入らないときている。 

 

私も人に頼まれて探したことがあるのだが、

状態の良いものは少なくて、

子供の落書きがあったり、ページが破れていたりと、

絵本というより小学生のお絵描き帳のような散々な状態。

苦い気持ちで手にしては、元に戻していた。

 

ただこの時代のロシアの絵本は、

素朴な優しさに満ちていて、いったんツボにはまると

とことん蒐集したくなってくる。

私に頼んだ人もそのような想いだったのだろう。

たとえでいうならば、

「ひかりのくに」の月間絵本をすべて集めたくなる

気持ちにも似た感覚である。

 

だいたい最近のロシアの絵本は、

欧米的な眼が大きく可愛く描いた趣向になってきて、

絵が面白いものが少なくなってきているし、

あの少し暗めのタッチでしっかりとした画風は、

ロシア・東欧独特なもの。

この伝統は続けてほしいと願うのは私だけでないはず。

 

これだけ希少な絵本を、一冊にまとめた

この本はささやかだけど情熱にささえられた労作だと思う。

 

この絵本で勉強したら

ロシア語が話せるようになるかもしれない。

と、ふと誰もいない場所でそっと呟いてみた。

(店主YUZO)

9月 26, 2011 ブックレビュー |

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