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2011年9月22日 (木)

石郷岡健著「ロシア最前線」

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ロシアは広い国である。

そして意外に忘れているのは、他民族国家だということ。

 

モスクワに行くと実感するのだが、

スラブ系の白人だけしかいないと思っていたのが大間違いで、

私たちと同じ極東アジア系の顔がいれば、

中央アジア系の茶褐色で顔の彫りが深い人、

中東系の髯が似合う顔も大勢いる。

さすがにアフリカン系は見たことはないけども。

 

アメリカは人種の坩堝と言われるけど、

なかなかロシアもいろいろな人種が集まっているのだ。

だいたい、あれだけ大きな国で、ひとつの民族だけが、

住んでいるわけがない。

それでは狭い日本に住む私たちに不公平である。

 

また「ロシアは美人が多いでしょ?」訊かれるけれども、

「美人の割合は日本と一緒だよ」と

と答えるようにしている。

 

美人の定義や解釈は

個人の好みと美意識によるのことが大きいし、

断言してしまうのは、平和への道につながらないからね。

 

この本はソビエト崩壊後、あまり論じられることがない

コサックやタタール、クリミヤ地方、ロシア正教分離派教徒の生活を

ルポルタージュしたものである。

 

私に限らず日本人のコサック観といえば、

足腰が強靭でないと出来ないスクワットにも似た舞踊だし、

ロシア正教もイコン画を大切にしているぐらいの知識程度。

 

この本で記されている

スラブ系民族に対する諸民族の感情は、

とうてい理解できるようなものでない。

それはソビエトが支配した70年程度の歴史より、

さらに遡り脈々と続くから私こどきが理解できるはずもなく、

支配する側と支配された側の溝の深さだけが、

ずっしりと言葉としてくる。

 

この本で興味深かったのは、

ロシア正教分離派教徒の生活態度について。

日々の糧に神への感謝の気持ちを忘れない、

ラジオやテレビなどの退廃した文化は受け入れない、

質素で凛とした生活は、

物が溢れかえった日本では想像さえしにくい生き方。

 

しかし成熟した資本主義になった国に住んでいる身として、

つねに浪費と消費をし続けないと景気が悪いと、

騒ぎ立ててしまう狂乱した生活と比較すると、

どういう生活が人間らしい生き方なのかと、一考してしまう。

 

ふむふむ。 

哲学的な問題になってしまうね。 

まあ無理やりに結論付けると、

先日レビューした「ロシア・アンダーグラウンド」より面白い本です。

 

(店主YUZO)

 

9月 22, 2011 ブックレビュー |

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