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2011年9月30日 (金)

白井裕子著「森林の崩壊」

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先日、紹介した「日本の美林」が、

森林の豊かさがどれだけの恵を人々に授けてくれるのか、

古代の人々の知恵はなぜ森を守ることができたのか、

を説いた本ならば、

こちらは戦後の国の森林政策がいかにして、

日本の森林および林業を崩壊させてきたのか、

を強い口調で書かれた本である。

 

林業に従事する現場の人々の声をきかず、

予算計上したからには年度内に使ってしまおうとする行政。

補助金をもらうためにあれこれと書類制作追われる自治体。

 

多額のお金が飛び交う一方で、

実際の森林は荒れ果て、林業を職とする人は減り続け、

輸入木材に頼り切っている現状。

 

日本の行政の矛盾がここでも起きている

森林の崩壊は机の上で起きているのではない。

現場で起きているのだ

と危険と隣り合わせで一生懸命に森を守る人々の声が、

聞こえてきそうである

 

就職難でワーキングプアが作り出される都市生活と

片や後継者や希望者が減って荒れ放題の山林に里山。

人々に金融経済という価値しか示さない

市場原理などを越えて両者を結びつける方法はないものか。

 

マトリョーシカ屋の店主でさえ頭を抱えてしまう問題である。

 

それでは好例の印象に残った一文。

「木は生物材料であり、それぞれに性質が違う。人も生物であり、みな違って当然である。木を使って人が建てる木造建築も同じである。そこにあまりにも均質なもの、同質なものをもとめるのは、おかしくないのだろうか」

(店主YUZO) 

9月 30, 2011 ブックレビュー |

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