ロシアは地球の淵をまわる!?
いよいよ、ロシア仕入れ旅の最終日である。
心残りとしては、
変わったインパクトのあるマトリョーシカが見つけられなかったこと。
とにかく午前中、市場に行って偶然の出会いを期待するしかない。
タイムリミットは3時間。自然と気持ちが引き締まる。
その点は、たかなし姫も同じである。
念じると通じるもので、
早々にアンティーク風のマトリョーシカを発見。
セミニョーノフでつくられたものらしく、
男だか女だかわからない顔つきに、民族衣装を身にまとい、
所々ニス溜りができている、やっつけ仕事の見本みたいなつくり。

ただ作家の丁寧に仕上げたマトリョーシカばかり見ていると、
こういうお土産にもなりかねるものに惹かれてしまうのも、
マトリョーシカの恩深さなのか。
迷わず置いてあった4つ全てをゲット。
(ちなみに、ほぼ1年経った現在、4人ともお嫁に行っていない)
さらに、ぶらりぶらりと散策していくと、
「アート・オブ・ロシアン・マトリョーシカ」で紹介されていた、
熊がハチミツを食べている「おだんごぱん」のマトリョーシカを発見![]()
頼りなげに下を向いた姿と、ハチミツ壷を抱えるように広げた足が特長で、
マトリョーシカらしからぬ独特のかたちが、実にユニーク。
「これ!これ!これをあるだけください
」
間髪入れずに、たかなし姫と同時に声を上げてしまい、
売り子(中年のオッサン)は、興奮した日本人が店に襲来してきたと思ったのだろう。
ちょっと引き気味。
「この他にも、バーバーヤーガもつくっていましたよね?」
と言いたいのだが、そんな高度なロシア語が話せるわけもなく、
雛鳥のように二人揃って、
「バーバーヤーガ
バーバーヤーガ
」と連呼。
すると私たちの興奮が伝染したのか、
「ここにバーバーヤーガはないけれども、すぐに工房から持って来させる」
とロシア人らしからず、素早く電話をして、
車を運転する真似などをして伝えようとしている。
「ウィ、エアポート、ゴーゴー、リミット1時!」
という意味不明の英語で、鼻息荒く、間に合うか訊く私たち![]()
「1時間以内に着くから、大船に乗った気持ちでいてくれ」
とゆとりの表情で豪語する売り子。
「本当に
それで、工房はどこにあるの
(もちろん英語と日本語のミックス)」
「もちろんセルギエフ・パッサードだよ」
それを聞いて、一瞬にして我に返った。
セルギエフ・パッサードからモスクワまで、
ロシアの道路事情を考えると、3時間近くかかる。
ロシア人にとって、
その距離は東京駅から上野駅ぐらいにしか感じないだろうが、
地図で見れば、東京から水戸ぐらいはある。
諦めた時点で、急速に興奮が冷めていく私たちだったが、![]()
売り子は、ボイラー工場のようにどんどんヒートアップ。
「こうして話しているうちに、もう半分まで来ているはずだっ
」
その根拠の無い自信に敬服しながらも、
冷静に「おだんごぱん」マトリョーシカの精算をする私たちであった。
(つづく)

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