« 2009年7月 | トップページ | 2009年9月 »

2009年8月26日 (水)

ロシアは地球の淵をまわる!?

いよいよ、ロシア仕入れ旅の最終日である。

心残りとしては、

変わったインパクトのあるマトリョーシカが見つけられなかったこと。

とにかく午前中、市場に行って偶然の出会いを期待するしかない。

タイムリミットは3時間。自然と気持ちが引き締まる。

251

その点は、たかなし姫も同じである。

念じると通じるもので、

早々にアンティーク風のマトリョーシカを発見。

セミニョーノフでつくられたものらしく、

男だか女だかわからない顔つきに、民族衣装を身にまとい、

所々ニス溜りができている、やっつけ仕事の見本みたいなつくり。

252

ただ作家の丁寧に仕上げたマトリョーシカばかり見ていると、

こういうお土産にもなりかねるものに惹かれてしまうのも、

マトリョーシカの恩深さなのか。

迷わず置いてあった4つ全てをゲット。

(ちなみに、ほぼ1年経った現在、4人ともお嫁に行っていない)

さらに、ぶらりぶらりと散策していくと、

「アート・オブ・ロシアン・マトリョーシカ」で紹介されていた、

熊がハチミツを食べている「おだんごぱん」のマトリョーシカを発見

頼りなげに下を向いた姿と、ハチミツ壷を抱えるように広げた足が特長で、

マトリョーシカらしからぬ独特のかたちが、実にユニーク。

253

「これ!これ!これをあるだけください

間髪入れずに、たかなし姫と同時に声を上げてしまい、

売り子(中年のオッサン)は、興奮した日本人が店に襲来してきたと思ったのだろう。

ちょっと引き気味。

「この他にも、バーバーヤーガもつくっていましたよね?」

と言いたいのだが、そんな高度なロシア語が話せるわけもなく、

雛鳥のように二人揃って、

「バーバーヤーガバーバーヤーガ」と連呼。

254

すると私たちの興奮が伝染したのか、

「ここにバーバーヤーガはないけれども、すぐに工房から持って来させる」

とロシア人らしからず、素早く電話をして、

車を運転する真似などをして伝えようとしている。

「ウィ、エアポート、ゴーゴー、リミット1時!」

という意味不明の英語で、鼻息荒く、間に合うか訊く私たち

1時間以内に着くから、大船に乗った気持ちでいてくれ」

とゆとりの表情で豪語する売り子。

「本当にそれで、工房はどこにあるの(もちろん英語と日本語のミックス)」

「もちろんセルギエフ・パッサードだよ」

それを聞いて、一瞬にして我に返った。

セルギエフ・パッサードからモスクワまで、

ロシアの道路事情を考えると、3時間近くかかる。

ロシア人にとって、

その距離は東京駅から上野駅ぐらいにしか感じないだろうが、

地図で見れば、東京から水戸ぐらいはある。

諦めた時点で、急速に興奮が冷めていく私たちだったが、

売り子は、ボイラー工場のようにどんどんヒートアップ。

「こうして話しているうちに、もう半分まで来ているはずだっ

その根拠の無い自信に敬服しながらも、

冷静に「おだんごぱん」マトリョーシカの精算をする私たちであった。

255

(つづく)

8月 26, 2009 海外仕入れ | | コメント (2)

2009年8月19日 (水)

モスクワの憂鬱

いろいろと鬱積しいたものが堰を切って流れ出したのか、

ニコライさんの日本への思いが延々と続く。

「私はもう一度、日本で勉強がしたいのです。

今私がしている仕事は、私が本来やりたい仕事とは正反対のものです。

このまま続くかと思うと、自分が死んでしまったような気分です。

でも死ぬことはいけないことですから、絶対に死は選びませんが。

本当に二人は、良い仕事をしています。

羨ましい。ロシア人が知らないことも、良く調べられていて。

それに比べて私は・・・。私も昔はそういう気持ちでした・・・」

241

自責の念にかられたかと思うと、私たちを褒め称え、

するとまた自責の念に逆戻りの繰り返し。完全に酒飲んでクダを巻く、

新橋のオッサン化している。

ふとロシア通のチリパシュカさん(実は日本人です)の言葉を思い出した。

242_2

ロシアの酒飲みは、大まかにふたつのタイプに分かれるそうである。

一晩中、陽気に騒いで飲み明かすタイプと、

飲むにつれて人生とは何かと考え込んで意気消沈するタイプと。

もしこの説が正しければ、明らかにニコライさんは後者のタイプである。

もちろん前者が運転手になるだろう。

243

ニコライさんは、どんどん自分の内なる世界に入り込み、

「人生をリセットしたい」とまで言い出し、

運転手は、割り込みする車や故障している車など、

目に付くものすべてに悪態をついている。

世界中で起きている不幸が、この二人に降りかかっているようである。

ドストエフスキーの「罪と罰」をちゃんと読んでおけばよかったと、

後悔する私であった。

(つづく)

8月 19, 2009 海外仕入れ | | コメント (0)