すごいぞ!ロシアの高村光雲
このような状態ゆえ、
ボゴロツカヤについての仔細は全く覚えていないのだが、
断片的な記憶を辿ると、あの熊が踊るおもちゃは本業ではなく、
彫刻物を製作するのが本来の産業らしい。
その彫刻物を例えるならば、
北海道の鮭を咥えた熊のスケールを大きくしたものを想像してもらえば、
間違いない。
樹齢100年は優にこえた切り株に4頭立ての馬車を彫ったものや、
童話「三匹の熊」をモチーフにしたもの、
ロシアの古い諺をベースにしたものなど、
1メートル前後の作品が所狭しと展示されている。
しかも馬車などは細部の装飾物まで綺麗に彫られていて、
技術の高さを感じさせる。日本にこれらの作品が存在したら、
何点かは重要文化財に指定されてもおかしくない力作ばかりである。
この高度な彫刻の技術を基礎に、
あのおもちゃを副業としてつくっていると言いたいのかもしれない。
しかし作品の完成度が高いのに、工場まで足を運ぶ人は少なそうである。
結局、私たち3人以外、誰も見学者は現れず。
真面目な性格らしい美しき女性は、閑古鳥が鳴くなか、
途中で説明を割愛することなく、すべての展示物について講義してくれた。
けれども私の頭には、彫刻家の名前も歴史も何ひとつ残っていない。
あんなに丁寧に説明してくれたのに本当に申し訳ない。
もし恨むのでしたら、昼食時に
「ビールよりもウォッカのほうが身体によいのです。
医学的にも証明されています」
というロシア的な意味不明な論理で、
ウォッカを注文したニコライさんを恨んでください。
(つづく)

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