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2009年7月31日 (金)

ニコライさんの思い

帰りは小雨が降り出し、

モスクワ市内でむかう道路は、いつものように大渋滞。

しかも金曜日ということもあって、渋滞が解消する気配もない。

午後7時をまわり、車内にぴりぴりとした空気が漂う。231_2

KGBまがいの運転手が

「今日、呑みに行く予定なのに、なんてぇ、事だ=たぶんそう言っている」

と突然大声を出したのだ。

昼間、ニコライさんと私がウォッカを飲んでいるのを横目で見ていたときから、

今日の飲み会を楽しみにしていたのだろう。

だいたい2リットルも鯨飲する大酒呑みである。

他人が美味しそうに酒を飲むのを見て、黙って指を咥えているわけがない。

胃袋といわず、肝臓といわず、アルコールを欲して我慢できない様子で、

苛立っているのが、後部座席からでもわかる。

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「だいたい金曜日に遠出して、ボゴロツカヤなんて片田舎に行くから、

こんな目に合うんだ=たぶんそう言っている」

と大きな独り言をこれ見よがしに言っては、助手席のニコライさんを睨みつける。

この剣幕に萎縮してしまったのがニコライさんは、

下を向いたまま、ぶつぶつと呟き、背中は悲愴感が溢れ出ている。

「今日、丸一日お付き合いしてくれてありがとうございます。そう運転手に伝えてください」と私が言うと、ニコライさんがこちらを振り向いた。

「そういうことではないのです。

それより、あなた方の仕事を手伝って、

自分のやるべきことを見失っていたことに気がつきました」

「????」

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「あなた方はロシア語もわからないのに、

ロシアの良い文化を日本に伝えようとしている。

日本語を勉強したのに、私は日本の良い文化を ロシアに伝えようとしない。

まったく恥ずかしいです」

あれ!?運転手に小言を言われ続けて、落ち込んでいたのではないの?

たかなしさんと私は顔を見合わせた。

ポイントがわからない・・・・。

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(つづく)

7月 31, 2009 | | コメント (0)

2009年7月15日 (水)

すごいぞ!ロシアの高村光雲

このような状態ゆえ、

ボゴロツカヤについての仔細は全く覚えていないのだが、

断片的な記憶を辿ると、あの熊が踊るおもちゃは本業ではなく、

彫刻物を製作するのが本来の産業らしい。

その彫刻物を例えるならば、

北海道の鮭を咥えた熊のスケールを大きくしたものを想像してもらえば、

間違いない。

Bogo1

樹齢100年は優にこえた切り株に4頭立ての馬車を彫ったものや、

童話「三匹の熊」をモチーフにしたもの、

ロシアの古い諺をベースにしたものなど、

1メートル前後の作品が所狭しと展示されている。

しかも馬車などは細部の装飾物まで綺麗に彫られていて、

技術の高さを感じさせる。日本にこれらの作品が存在したら、

何点かは重要文化財に指定されてもおかしくない力作ばかりである。

この高度な彫刻の技術を基礎に、

あのおもちゃを副業としてつくっていると言いたいのかもしれない。

しかし作品の完成度が高いのに、工場まで足を運ぶ人は少なそうである。

結局、私たち3人以外、誰も見学者は現れず。

真面目な性格らしい美しき女性は、閑古鳥が鳴くなか、

途中で説明を割愛することなく、すべての展示物について講義してくれた。

けれども私の頭には、彫刻家の名前も歴史も何ひとつ残っていない。

あんなに丁寧に説明してくれたのに本当に申し訳ない。

Bogo2

もし恨むのでしたら、昼食時に

「ビールよりもウォッカのほうが身体によいのです。

医学的にも証明されています」

というロシア的な意味不明な論理で、

ウォッカを注文したニコライさんを恨んでください。

(つづく)

7月 15, 2009 海外仕入れ | | コメント (0)