念願のマトリョーシカ工場見学①
いよいよ、念願のマトリョーシカ工場見学である。
絵付けをしているのは前回見たけれども、素材を削りだすのを見たことはない。
寸法がバラバラにつくられている事実が、
きっちりと測って物をつくる国で生まれた私には、信じ難いのである。
いくらナルマイナ(問題ない!)が口癖のロシア人でも、
図面もあれば、専用の冶具もあるでしょう。
工場はセルギエフ・パッサードの外れにあって、少し寂れた感じ。
ソビエト時代から操業していたのか敷地は広いが、
人影はなくも崩れたレンガも放置されたまま。
植え込みに手が入った様子もなく、廃工場の雰囲気さえ感じる。
「ちょっと淋しい工場ですね」と私が言うと、ニコライさんは困惑した顔で、
「いろいろ探したのですが、見学できるマトリョーシカ工場は少ないんです。
個人でつくっている人が多いみたいで」
工場内の待合室に通されると、
そこには目映いばかりのマトリョーシカの山々・・・・。
という期待に反し、無造作に積まれた書類とツギハギだらけの応接セット。
「この工場、ちゃんと操業しているのですかね」
15分ほど経ったのに担当者は現れず、さらに気持ちを不安にさせる。
あまりにも待たせるのでニコライさんも痺れを切らし、
最初に応対したおばさんに文句を言いに、部屋を出て行ってしまった。
さらに15分。カップ麺ならば10杯出来上がるところ、
先ほどのおばさんとニコライさんが戻ってきて、ようやく工場見学が始まった。
(つづく)
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