« ロシア版「カンブリア宮殿」 | トップページ | ニコライバさんとの再会(1) »

2009年2月19日 (木)

キエフ風カツレツの悲劇

さて昼食会。

白い壁と板張りの床の落ち着いたレストランに招かれる。

先回、ロシアに行ったときは自炊だったため、ペルメニ(ロシア風水餃子)ばかりだった。たぶん私が住んでいる海老名市では、

一番ペルメニの料理法を知っている人間だと思う。

そんな質素な食事ばかりしていたので、きちんとしたレストランは初めて。

言われるままに、キエフ風カツレツを頼んでみた。

101_2

副社長によると、キエフ風カツレツを初めて食べる人は、

その実態がわからないだけに相当に危険な食べ物らしい。

運ばれてきたキエフ風カツレツは、フットボールのような楕円をしていて、

その端に可愛らしく紙のリボンがついている。

そして不思議なことにソースの類は一切無い。

「大惨事が起こる前に、私が食べ方の見本をお見せしましょう」

どう手をつけてよいのかわからない私たちの目の前で、

紙のリボンを指で押さえ、すうっとカツレツにナイフを入れる。

するとカツの切れ目から、黄金色の溶けたバターが流れ出す。

そのダム決壊のような光景に、思わず拍手。

102

「キエフ風カツレツは中にバターがたくさん入っているので、ソースはいらないんですよ」

「ところで、この食べ物のどこが危険なのでしょうか?」

「この紙のリボンを握って、そのまま齧り付く人が多いんですね。

その瞬間、熱いバターで舌を火傷するか、流れ出したバターで服やネクタイを黄色く染めてしまう。

悲しい出来事です」

私は白いシャツを黄色く染めて、うつむきながらレストランを後にする

旅行者の一群を想像してみた。何人かは赤くなった舌を出して、ひいひい泣きながら。

なるほどやるせない悲劇である。

一見するとケン○ッキー・フライ○チキンに似ているだけに、

被害者は当局の発表よりも多いのかもしれない。

哀呼。

お味は、カツには鳥の笹身を使用しており、

バターが多く使われているのにかかわらず、あっさりとしている。

前菜に出た茸の酢漬けと食すると、さっぱりとした口当たりで美味しい。

週一回食べても、胃もたれすることはない感じである。

もっとも良い油で、さくっと揚げていればばの話だが。

最後にデザートのアイスを頼む。

その際、昔から気になっていたことを訊いてみる。

「ロシア人は、アイスが好きで真冬でも食べると聞いたのですが」

「はい。スタンド売っているアイスは特に人気で、

真冬でも午前中に売り切れてしまうほどです」

「身体が冷えてしまわないんですか?」

「いやいや、真冬のアイスは暖かいです」

「アイスが暖かい?」

「そうです。これは実際に真冬に味わってみないとわからない。

今度は真冬にアイスを食べにきてください」

そう言って副社長は、開いた口が塞がらない私たちを見て微笑む。

103

暖かいアイス。

ロシアの冬は厳しいとはきいているが、味覚までも変えてしまうほどの寒さなのか。

(つづく)

2月 19, 2009 海外仕入れ |

コメント

コメントを書く