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2009年1月28日 (水)

パベルさんの独創性

次に会ったのはパベルさん夫婦。「木の香」オリジナルのマトリョーシカを制作してもらうのが、この工房。「ナルマイナ=問題ない」が口癖の旦那さんとしっかり者の奥さんというロシア版夫婦善哉といったおふたり。

会うやいなや、10年来の友人のようにハグしてくる旦那さんと店の奥からていねいな挨拶をおくる奥さんという期待とおりの反応で、思わずこちらも苦笑いしてしまう。

パベルさんのマトリョーシカは、精細さや凛とした気品はないけれども、奇抜なアイデアだけは他の追随を許さない。

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早速新作といって見せてくれたのは、海亀の背中が開いて、中に卵が3個入っているというもの。しかも海亀が花を咥えているのだが、その位置が口のはるか後方で、まるで頬に花が刺さっているように見えてしまう。「卵を紛失したら、そのまま海亀の小物入れになるんだよ」と誇らしげに自慢の逸品を説明してくれる。

こんな不気味な海亀の背中に何をいれるんだよと、突っ込みを入れたくもなるが、パベルさんは満面の笑みで、買っていけ、買っていけとその海亀をこちらに押し付ける。思わず、その押しの強さに負けてしまう。

しかし次に紹介された新作は、さらにすごいもの。

日本は来年は年だから、牛をモチーフにした作品はあるかきくと、待っていましたとばかりに、奥から取り出してきたのは、4本足で立っている赤い牛。この足がついているマトリョーシカは他には見ないねと、その独創性に感心していると、赤い牛のお腹から出てきたのは、なんとお婆ちゃん!さらにお婆ちゃんからは犬!

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「この牛は人喰い牛かっ!!」と突っ込みを入れるが、またもやパベルさんの得意技、満面の笑み攻撃を受け、あっさりと仕入れてしまう。しかし何を題材にこのようなマトリョーシカをつくるのか、パベルさんの発想の着眼点が、さっぱりわからない。

 パベルさんへのお土産は、弁慶が描かれている和凧のミニチュア。お土産を手にした途端、パベルさんの眼がきらりと光ったのを見逃さなかった。次に会うときは、弁慶のマトリョーシカをつくってくるにちがいない。(弁慶のなかから牛若丸が出てくるのか?)

 以前にも日本のこけしと中国の人形を混ぜ合わした風変わりなマトリョーシカをつくっていた実績もあるし。パベルさんの創作意欲は楽観視はできない。

 マトリョーシカつくりにルールはないけれども、牛からお婆ちゃんが出てくるのはイエローカードものだと思うのだが。

(つづく)

1月 28, 2009 海外仕入れ | | コメント (2)

2009年1月19日 (月)

コブロフさんへのプレゼント

いよいよ、仕入れ初日。

まずは先回のロシア訪問時に世話になったコブロフさんに会いに行く。コブロフさんは「地球の歩き方」に紹介された「木の香」でも人気のある作家。少しリアルな顔立ちと目のぱっちりとした可愛い女の子が特長で、マトリョーシカ好きならば、ひとつは手元に置きたくなる作品をつくっている。もうひとつの特長は、木彫りを施したサンタクロースやスノーマンといった作品群で、こちらはあまり日本では見かけないもの。

ふたつの異なった作風が、ひとりの作家の手でつくられているのが、コブロフ作品のすごいところ。

今回は、何か日本の木工芸品をプレゼントしたいと思い立ち、木の香でも取り扱っている、箱根の木象嵌画を持参した。(貞さんの作品がロシアに渡りましたよ!)

コブロフさんは包みを開くなり、ラテン的なノリの陽気さで、「わぁ~お!!これはすごい!(たぶんそう言っている)」と開口一番に叫び、仕事中の奥さんを呼び、まわりの人たちを掻き集め「これは日本人がつくった作品だぞ。実に絵柄もキュートで技術も高度だ(たぶんそう言っている)」と興奮を抑えきれない様子。端から見れば、コブロフさんが口上で象嵌を売っている、縁日のような人だかり。

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自分たちが木象嵌画をプレゼントしたかったのかは、理由がある。ロシアでマトリョーシカつくりの発端、ヒントとなったのが、約100年前にロシアに渡った、箱根の七福神をモチーフにした入れ子人形といわれているだけに、同じ箱根でつくられた木象嵌画が、現代作家の新しい作品のインスピレーションにつながればと思ったからだ。やがてロシアと日本の木工作家の技術交流になり、関係が深まっていけばいいなと夢はふくらむ。

鑑定士のような目つきで作品を見るとコブロフさんは、矢継ぎ早やに質問してきた。コブロフさんは英語が話せるので質問は英語なのだが、あまりの早口に、たかなしさんも私も、鳩のように首をたてに振ってうなずくばかり。コブロフさんの好奇心の泉は、こんこんと湧き出てくる様子。

唯一象嵌のモチーフを説明するために持っていた雛祭りのパンフレット見せて「日本では、女の子を祝う祭りは3月、男の子の祭りは5月にあるんだよ」というと

「日本では子どもを祝う祭りは、他にもあるのか?」

「このパンフレットの人形はこけしなのか?何でつくられているんだ?」

「日本のどこでも行う祭りなのか?」と質問は日本の文化にまでおよび、知りうる限りの英単語を駆使して何とか説明するのだが、ちゃんと伝わったかは神のみぞ知る。(あぁ、ロシア語だけでなく英語も勉強すべきだった!)

コブロフさんは作家だけに興味は、デザインから木の種類までに及び、好奇心の泉は枯れることはない。木彫をしているだけに、木肌の違う木片を嵌めてつくる技法は、今後の作品つくりの大きなヒントになったのかもしれない。数年後、木象嵌が入った作品が見られたら嬉しいなと、夢心地の私たち。

初日から幸せな気分。

(つづく)

1月 19, 2009 海外仕入れ | | コメント (0)

2009年1月13日 (火)

モスクワの道路事情

出国手続きを済ませて、外に出ると小雨が降っていて少し肌寒い。

温度は10℃に満たないぐらいで、日本よりも10℃近く低い。4月に来たときは20℃もあった初夏の陽気が一転して、次の日に雪が降っていた。モスクワの天気は、かなり気まぐれな印象で、服選びに苦労する。

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空港を出ると旅行会社が手配してくれた運転手が「Mr.YUZO」と白い紙を掲げていた。この空港の出迎え光景は世界共通である。

早速、「こんにちは=ズドラーストヴィチェ」と声をかけて握手をしたが、あとの会話は当然ながら続かない。少しでもコミュニケーションをと思い、1から10まで数えてみようと思ったが、へんな日本人と思われてもいやなので、ぐっと堪えた。歩道を濡らす小雨が肌身にしみる。

その後、英単語を並べただけの会話と、日本からもってきた指差し会話帳なるもので話すところによると、この運転手はヨルダンから出稼ぎに来ているご様子。お互いに異国の地でたいへんだねと、日本のガムを差し出したら喜んでくれた。

モスクワ市内までの道は、5車線の立派なものだが、万年渋滞でチョロチョロとしか進まない。いわば日本の帰省ラッシュが毎日ある感じ。運転手はいつものことと苛立つ様子もなく、ガムを美味しそうに噛んでいる。ちなみにガムは梅味である。

梅干は余裕なのか?恐るべし、ヨルダン人の味覚。

結局、自転車なみのスピードで、ホテルまで20キロ程度なのに2時間半もかかった。ホテルのチェックインやら様々な手続きやらを済ませて近くのカフェに入ると、もう10時。日本を出発して16時間で、ようやく落ち着いた感じ。

カフェはお惣菜が並んだショーケースから、これを何グラム、これを何切れと言って注文すると、電子レンジで温めてくれる。マヨネーズであえたブロッコリーやら、煮込んだ豆やらを注文し、電子レンジがチンと鳴るのを待っていると、私たちのすぐ後からカフェに入ってきた客がオーダーしようとするや、

「閉店!!=ザクリュート!!」とグリズリー並みの巨体のおばさんが、さっさと片付けに入る。わずか5分過ぎだけれども、接客時間よりも勤務時間のほうが、すべての状況において優先なご様子である。

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この辺り心境は海外ではよくある出来事だろうけれど、真面目な日本人のわたしたちには、少しぐらい帰りが遅れてもいいから対応すれば良いのにと思ってしまう。このお客も旅行者みたいだし、絶対にお腹が空いているはずなのに。

 しかし字画良い私たちは、異国の地でも運か強い。ほぼ閉店時間に入ったのに、おばさんのザグリュート責めにあわずに済んだのだから、これを強運以外何と言えばいいのか。

 明日からの仕入れも、この調子で期待できるねと実感。

(つづく)

1月 13, 2009 海外仕入れ | | コメント (3)

2009年1月 5日 (月)

いよいよ旅立ちの日

簡単な挨拶、買い物会話、それに1から10までの数字までは言えるようになった。

もちろん文字は読めないまま。

ただこの1ヶ月間で最大の収穫は、この仕入れ旅をサポートしましょうと、ロシアにある日系の会社が名乗り出てくれたことだった。

現地でアポをとりたい方や行きたい場所など、何でも相談してくださいと、心強い言葉までいただいて。

思えば、たかなしさんも私も、名前の字画が良いのである。

「木の香」オープン前もそうだったが、寸前のところで救世主が現れて、ぱっと道が拓けるのである。

良い名前をつれてくれて、ありがとう!!

さてロシア→モスクワまでは、アエロフロートというロシアの航空会社の直行便。モスクワまでは約10時間かかる。

前回の経験から、ラジオは聞こえない、映画の放映もなし、リクライニングは壊れている席が多いとにらみ、時間潰しグッズをいろいろと揃えた。スケッチブック、小説、ポータブルオーディオ、漢字クロスワード、やり残した仕事……。

そのなかでお勧めは漢字クロスワード。

ふだん使わない脳がぐりぐりと刺激され、すぐに心地よい眠りにつける。

目覚めれば食事。そして漢クロ。また眠くなる。

そうこうしているうちに、ようやくロシアに到着。頭の中を漢字とキリル文字が回っている。

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1月 5, 2009 海外仕入れ | | コメント (0)